ダブル不倫(W不倫)とは?始まるきっかけやリスク、慰謝料請求の注意点を解説
ダブル不倫(W不倫)は、不倫のなかでもより多くの人を巻き込む行為です。
そのため、さまざまな場面で複雑な問題が発生します。
このページでは、ダブル不倫という言葉の意味や、始まるきっかけ、陥りやすい人の特徴、リスクなどについて紹介します。
また、ダブル不倫による慰謝料請求や離婚への影響についても解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
この記事を読んでわかること
- ダブル不倫(W不倫)とは何か
- ダブル不倫(W不倫)のリスク
- ダブル不倫(W不倫)による慰謝料請求や離婚への影響
ダブル不倫(W不倫)とは?
ダブル不倫とは、一般的に既婚者同士が不倫をしている状態を意味します。
ただし、「ダブル不倫」は法律上の言葉ではないため、明確な定義はありません。
そのため、場合によっては夫婦の双方が別々に不倫している(不倫関係が二重に発生している)ことをダブル不倫と呼ぶこともあるようです。
①既婚者同士が不倫をしているケース
②夫婦の双方が不倫しているケース
このようにダブル不倫には、夫婦の一方が未婚者と不倫しているケースよりも多くの人が関わってきます。
ダブル不倫(W不倫)が始まるきっかけ
不倫が始まるきっかけには、さまざまなものがあります。
ダブル不倫の場合、以下のようなことをきっかけに不倫に発展するケースも多いようです。
- 夫や妻との関係について相談しているうちに仲が深まった
- 子どもの学校行事や習い事で意気投合した
- 同窓会などで久々に再会した
特に既婚者同士では、お互いの家庭や子どものことなど共通の話題が多いことで、親密な関係になりやすいのかもしれません。
なかでも、夫婦関係について相談したり、不満を打ち明けたりするなかで親密になるケースはよくあるパターンです。
ダブル不倫(W不倫)をしてしまう人の心理
既婚者同士であれば、お互いに「家庭を持つ大変さ」を共有できます。
自分の状況や気持ちを理解してもらいやすいため、癒しを求めて不倫してしまうことがあるようです。
また、お互いに家庭があるため、結婚を迫られることや、別れる際に配偶者に不倫をバラされるリスクは低いといえます。
そのような安心感から、ダブル不倫に発展するケースもあるといえるでしょう。
ダブル不倫(W不倫)に陥りやすい人の特徴
ダブル不倫に陥りやすい人には、一般的に以下のような特徴があるといわれています。
- ストレスの多い生活をしている
- 家庭内で孤独を感じている
- 生活に刺激を求めている
- 自由に使えるお金・時間がある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
ストレスの多い生活をしている
仕事が忙しく、ストレスの多い生活を抱えている人は、不倫に陥りやすいようです。
なかには、不倫によってストレスが解消され、家庭にストレスを持ち込まずに済んでいる場合もあるかもしれません。そのような場合、不倫を正当化し、不倫にハマっていってしまうケースもあるでしょう。
家庭内で孤独を感じている
夫婦関係に問題があり孤独を感じている人は、不倫に陥りやすいといえます。
配偶者とのコミュニケーションがうまくいかないことや、愛情を感じられない寂しさから、不倫してしまうケースは少なくありません。
生活に刺激を求めている
夫婦関係に満足している場合でも、日常生活に退屈を感じており、刺激を求めている人は、不倫に陥りやすいといえるでしょう。
人によっては、「バレてはいけない」というスリルや背徳感を味わうために、不倫をしてしまうケースもあるのです。
自由に使えるお金・時間がある
収入が多い人や家計の管理をしている人であれば、配偶者に知られずに不倫相手とのデート代を支払うことができます。
また、たとえば専業主婦やフリーランスなど、時間に融通が利く人であれば、不倫相手と会う時間を作ることも難しくはありません。
そのため、自由に使えるお金や時間がある人は、不倫をしやすい環境にあるといえるでしょう。
ダブル不倫(W不倫)のリスク
ダブル不倫は、夫婦の一方が未婚者と不倫しているケースに比べて、より多くの人を巻き込んでしまう行為です。
そのため、以下のようなリスクがあります。
家庭が崩壊するおそれがある
既婚者同士が不倫しているケースでは、お互いの家庭が崩壊するおそれがあります。
夫婦関係が破綻するだけでなく、子どもとの関係にも影響が生じるかもしれません。
親の不倫は、子どもにとって大きな精神的負担です。場合によっては、子どもの成長や将来にも影響をおよぼしてしまうでしょう。
職場に居づらくなるおそれがある
既婚者同士が社内不倫しているケースでは、職場の人間関係にも影響が生じるおそれがあります。
上司や同僚に不倫の事実を知られれば、信用を失い職場に居づらくなるでしょう。場合によっては、退職せざるを得なくなる可能性もあります。
慰謝料請求が複雑化する
既婚者同士が不倫している場合、その配偶者はお互いに「不倫している配偶者」と「不倫相手」に慰謝料を請求できる可能性があります。
また、夫婦の双方が不倫している場合は、そもそも慰謝料請求が認められるかどうかについて、適切な判断を要します。
どちらのケースにおいても、ダブル不倫では慰謝料請求が複雑化するため、注意が必要です。
具体的な注意点について、以下で詳しく見ていきましょう。
ダブル不倫(W不倫)で慰謝料請求をする際の注意点
配偶者の不倫が発覚した場合、不貞行為が認められれば慰謝料を請求することができます。
ただし、ダブル不倫の場合は以下の点に注意が必要です。
慰謝料を反対請求されるおそれがある
既婚者同士のダブル不倫の場合、配偶者の不倫相手に慰謝料請求をしたことをきっかけに、不倫相手の配偶者が不倫の事実を知り、反対請求をされるおそれがあります。
以下で、Aさんの妻が慰謝料請求したケースを見てみましょう。
このとき、Aさん夫婦が離婚せず、不倫相手への慰謝料請求と反対請求を同時に解決しようとするケースでは、AさんとAさんの妻がお互いに食い違う主張をすることはできません。
Aさんの妻は不倫があった前提で慰謝料を請求しているため、「夫は不倫をしていない」と主張して反対請求を跳ねのけることはできないということです。
また、Aさん夫婦に以下のような事情がある場合、請求した慰謝料よりもAさんが支払う慰謝料の金額のほうが高くなってしまう可能性があります。
- Bさん夫婦だけが離婚し、Aさん夫婦は離婚しない
- Bさん夫婦よりAさん夫婦の婚姻期間のほうが短い
- Bさん夫婦には子どもがいるが、Aさん夫婦には子どもがいない
- 不倫を主導したのはAさん
- Aさん夫婦の間で、不倫以外のことを理由にすでに離婚する話が出ていた など
なお、どちらも同程度の金額になる場合は、4者間で和解し「お互いに慰謝料は0円」という決着になることも珍しくありません。
ダブル不倫を理由に慰謝料が高額になることはない
不倫の慰謝料の金額は、裁判上の相場をもとに、離婚の有無や婚姻期間の長さなど、さまざまな事情を考慮して決まります。
ただし、ダブル不倫だからといって、ただちに請求できる慰謝料が高額になることはありません。
ダブル不倫だけを理由に相場とかけ離れた高額な慰謝料を請求してしまうと、相手が支払いに応じず、問題が長期化してしまうおそれもあるため注意しましょう。
不倫の慰謝料の相場について詳しくは、以下のページをご覧ください。
慰謝料請求が認められない可能性がある
夫婦の双方が不倫している場合、慰謝料請求が認められないか、認められても慰謝料が減額される可能性があります。
これは、お互いに不倫している時点で「婚姻関係が破綻している」と判断される場合があるためです。
なお、「配偶者の不倫がきっかけで不倫に至った」というケースでは、慰謝料請求が認められることもあります。
ダブル不倫(W不倫)によって離婚に影響が出る場合もある
夫婦の双方が不倫している場合、一方が「離婚したい」と思っても、裁判では離婚が認められない可能性が高いといえます。
これは、夫婦がお互いに離婚原因を作った責任のある「有責配偶者」にあたるためです。
有責配偶者からの離婚請求は、相手が拒否した場合、原則として認められません。
一方で、お互いに有責事由(不貞行為)がある場合には、信義に反するとまではいえません。そのため、ほかの事情にもよりますが離婚請求のハードルは下がるでしょう。
また、以下のようなケースでは、離婚が認められる可能性があります。
- 別居が相当長期間にわたって続いている
- 夫婦の間に未成熟子がいない
- 離婚によって離婚を請求された配偶者が苛酷な状況に置かれない
もっとも、夫婦の双方が不倫している場合はすでに夫婦関係が破綻していることも多いといえます。そのため、話合いで離婚が成立する可能性が高く、裁判に至らないケースも多いでしょう。
なお、離婚に伴う不倫の慰謝料については、一方の不倫だけが長期間であったり悪質であったりする事情がない限り、どちらも加害者であるとして、お互いに0円となる場合が多いです。
ダブル不倫(W不倫)の慰謝料請求をお考えなら弁護士にご相談を
ダブル不倫は、夫婦の一方が未婚者と不倫しているケースに比べて、より多くの人が関係してきます。
そのため、不倫の慰謝料請求においても、問題が複雑になりがちです。
場合によっては、慰謝料を反対請求されたり、慰謝料請求が認められなかったりするおそれもあるため、注意しましょう。
配偶者のダブル不倫が発覚し、不倫相手に慰謝料を請求したいとお考えであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士であれば、状況に合わせて適切な解決方法をご提案することができます。
アディーレ法律事務所では、浮気・不倫の慰謝料請求に関するご相談は何度でも無料です。まずはお気軽に、あなたのお話をお聞かせください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。