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第1回「浮気・不倫の慰謝料の相場は?増額・減額の事情や請求する条件・方法も解説」

監修者情報

弁護士

池田 貴之

いけだ たかゆき

更新日:2024/4/12

浮気・不倫の慰謝料の相場は?

夫や妻の浮気・不倫が発覚し、不倫相手への慰謝料請求を考えたとき、気になるのは「請求できる金額」ではないでしょうか?

浮気・不倫の慰謝料の相場は、一般的におよそ数十万円~300万円とされています。
ただし、離婚の有無や、浮気・不倫の期間、回数などさまざまな事情を考慮して判断されるため、一概にいくらとはいえません。

そこで「弁護士が教える!浮気・不倫の慰謝料講座」第1回では、浮気・不倫の慰謝料の相場や金額に影響する要素に加え、慰謝料請求の条件や方法を紹介します。
適切な金額の慰謝料を受け取るためにも、理解を深めていきましょう。

浮気・不倫の慰謝料の裁判上の相場

浮気・不倫の慰謝料について裁判になった場合の相場は、以下のとおりです。

浮気・不倫慰謝料の裁判上の相場(目安)
離婚しない場合 およそ数十万円~100万円
浮気・不倫が原因で離婚に至った場合 およそ100万円~300万円

浮気・不倫の慰謝料は、浮気・不倫をした夫(妻)とその不倫相手から受けた精神的苦痛に対して支払われるお金です。
そのため、一般的には、浮気・不倫による損害や精神的苦痛の程度が大きいほど慰謝料が高くなる傾向にあります。

浮気・不倫の慰謝料には明確な基準がない

浮気・不倫の慰謝料にはおよその相場はあるものの、法律で定められた明確な基準はありません。

そのため、裁判をせず話合いで解決する場合には、問題の早期解決や精神的損害などを考慮して金額が決まることも多いです。
たとえば、離婚しないケースでも、不倫相手が問題の長期化を避けたいがために、離婚したケースと同様の慰謝料で和解に至ることもあります。

このように、話合いでお互いに合意すれば、相場以上の金額が支払われることもあるのです。

ただし、浮気・不倫の慰謝料を争う裁判では、基本的には相場を目安に金額が決まります。
いくら相手方の稼ぎが莫大でも「億単位の支払いを命じる」という判決が下されることはまずありません。

浮気・不倫の慰謝料が増減される事情・状況

浮気・不倫の慰謝料の金額は、浮気・不倫を原因とした離婚の有無だけでなく、さまざまな事情が考慮されて決まります。

浮気・不倫による慰謝料の金額の増減に影響する主な事情は、以下のとおりです。

慰謝料の金額の増減に影響する事情
項目 増額に傾く事情 減額に傾く事情
婚姻期間 長い 短い
夫婦間の子ども あり なし
不貞行為の回数 多い 少ない
不貞行為の期間 長い 短い
不貞行為以前の夫婦関係 円満 破綻
不倫相手の認識・意図
  • 既婚者だと知っていた
  • 家庭を壊すつもりだった
既婚者だと知らなかった
配偶者と不倫相手との子どもの妊娠 あり なし
不倫相手の対応・状況
  • 不貞行為があったにもかかわらず不貞行為を認めない
  • 別れる約束を破って不倫関係を継続している
  • 真摯に反省・謝罪している
  • すでに社会的制裁を受けている
被害者の状況 浮気・不倫が原因で精神的損害(うつ病など)が発生した
被害者の落ち度 過去に浮気・不倫などをしていた

婚姻期間

婚姻期間が長い場合、慰謝料は増額される傾向にあります。
浮気・不倫された被害者の心情への配慮に加え、離婚後の再スタートが困難になりやすいと考えられるためです。

夫婦間の子ども

夫婦間に子どもがいる場合、慰謝料は増額される傾向にあります。
婚姻関係の破綻による影響が大きく、一般的に精神的損害も大きいとされるためです。

なお、被害者である妻が夫婦間の子どもを妊娠中である場合、それだけで慰謝料が大幅に増額される事情にはなりません。
ただし、妊娠は円満な夫婦関係を示すことが多く、具体的な状況によって増額に傾く事情として考慮される可能性があります。

不貞行為の回数

不貞行為の回数が多いほど、慰謝料は増額される傾向にあります。

反対に不貞行為が1回のみの場合、慰謝料は減額される傾向にあります。
ただし、肉体関係を持ったのは1回でも、長期間にわたり親密な関係にあったケースでは、高額な慰謝料が認められる可能性もあるでしょう。

不貞行為の期間

浮気・不倫の期間が長期間にわたる場合、慰謝料が増額される傾向があります。
どのくらいの期間が長期間かは一概にはいえませんが、10年以上であれば長期間と判断されることが多いでしょう。

また、婚姻期間に対する浮気・不倫の期間の割合によって判断される場合もあります。
たとえば、3年の婚姻期間中に2年にわたる浮気・不倫があった場合、長期間であると判断される可能性もあります。

不貞行為以前の夫婦関係

浮気・不倫が発覚する以前から夫婦関係が崩壊寸前であった場合、慰謝料は減額される傾向にあります。
なお、夫婦関係が完全に破綻していた場合、慰謝料請求は認められません。

不倫相手の認識・意図

不倫相手があなたの配偶者を既婚者だと知っていた場合や、家庭を壊す目的で不倫をしていた場合、慰謝料は増額される傾向にあります。
故意的な不倫は、悪質性が高いとされるためです。

配偶者と不倫相手の子どもの妊娠

配偶者と不倫相手との間に子どもができた場合、慰謝料は増額される傾向にあります。
被害者に極めて大きなショックをもたらすとされているためです。

不倫相手の対応・状況

浮気・不倫発覚後の不倫相手の対応や状況によっても、慰謝料の金額が増減します。

たとえば、不貞行為があったにもかかわらず不貞行為を認めない場合や、「別れる」と約束したのに不倫関係を継続している場合などには、慰謝料が増額されることがあります。

反対に、真摯に反省・謝罪している場合や、浮気・不倫の発覚によって勤務先を退職するなどすでに社会的制裁を受けている場合は、慰謝料の減額要素になる可能性もあるでしょう。

被害者の状況

被害者に大きな精神的損害が発生した場合、それを裏付ける証拠があれば、慰謝料は増額される傾向にあります。
たとえば、浮気・不倫が原因でうつ病になったケースなどでは、診断書などがあれば、慰謝料の増額に向けた交渉が可能です。

詳しくは、以下のコラムも参考にしてみてください。

被害者の落ち度

被害者に落ち度がある場合、慰謝料は減額される傾向にあります。
たとえば、あなたの過去の浮気・不倫が原因で配偶者が浮気・不倫をするに至ったケースなどです。

浮気・不倫の慰謝料請求が認められる条件

慰謝料は、不法行為が原因で負った精神的苦痛に対して支払われるお金です。
そのため、法律で定められている個人の権利や、保護されるべき法律上の利益が侵害されていなければ慰謝料請求は認められません。

浮気・不倫の慰謝料請求が認められるのは、以下の条件に当てはまるケースです。

<浮気・不倫の慰謝料請求が認められる条件>

  • 不貞行為がある
  • 夫婦関係が完全に破綻していない
  • 不倫相手に故意・過失がある
  • 時効が完成していない
  • 証拠がある
  • 十分な慰謝料を受け取っていない

それぞれ詳しく見ていきましょう。

不貞行為がある

慰謝料請求が認められるためには、民法上の不法行為である「不貞行為」があった事実が必要です。

以下の3つの条件に該当する場合、不貞行為とみなされます。

  • 肉体関係があること
  • 自由な意思に基づくものであること
  • 夫婦関係にあること

それぞれ詳しく解説します。

肉体関係があること

「肉体関係」とは、以下のような行為があることを指します。

  • 性行為
  • 性交類似行為(一緒に風呂に入る、性器を愛撫するなど)

食事をした、キス・ハグをしたというだけでは、「肉体関係がある」とはいえません。

ただし、頻度や2人の親密度など具体的な事情も加味して判断されることが一般的です。
そのため、以下のようなケースでは、状況次第で慰謝料請求が認められる可能性があります。

  • キスやハグなどの行為が繰り返し行われた場合
  • 一人暮らしの家(部屋)で2人きりで頻繁に食事をしていた場合

詳しくは、以下のコラムも参考にしてみてください。

自由な意思に基づくものであること

「自由な意思に基づいている」とは、強制(暴行、脅迫など)されたのではなく、不倫相手が自分の意思で肉体関係を持ったケースを指します。

肉体関係を強制された場合、不貞行為は成立しないため慰謝料を請求できません。

夫婦関係にあること

「夫婦関係にある」とは、以下のようなケースです。

  • 法律上の婚姻関係にある
  • その実態が婚姻関係を結んだ夫婦と何ら変わりがない内縁関係(事実婚)にある

恋人関係である独身同士の男女の一方がほかの異性と肉体関係を持ったとしても、法律上は不貞行為とみなされません。

ただし、婚約中の男女の一方がほかの異性と肉体関係を持ったことが原因で婚約破棄に至った場合、婚約解消(婚約破棄)によって受けた精神的苦痛に対して慰謝料を請求できる可能性があります。

詳しくは、以下のコラムを参考にしてみてください。

夫婦関係が完全に破綻していない

慰謝料請求が認められるためには、夫婦関係が完全に破綻していない必要があります。
夫婦関係が完全に破綻していた場合、法律が保護する「夫婦が平穏・円満な共同生活を送る権利」が存在しないため、慰謝料を請求することはできません。

夫婦関係が完全に破綻していたかどうかは、主に別居の有無を基準に判断されます。
ただし、別居していても夫婦の具体的な状況次第では「破綻していない」と判断されるケースもあります。

不倫相手に故意・過失がある

不倫相手の故意や過失によって権利の侵害が起きたことも、慰謝料請求が認められるための条件の一つです。
故意や過失とは、何らかの権利を「わざと」または「うっかり」傷つけることをいいます。

具体的には、以下のようなケースです。

  • 既婚者であることを知りながら肉体関係を持った
  • 既婚者であると気づける状況であるにもかかわらず、肉体関係を持った
  • 既婚者だと知っていたが、婚姻関係が破綻していると勘違いして肉体関係を持った

このような場合、浮気・不倫相手に故意・過失が認められる可能性があります。

時効が完成していない

浮気・不倫の慰謝料を請求する権利には時効があります。そのため、原則として時効が完成したあとの慰謝料請求は認められません。

浮気・不倫の慰謝料請求の時効は、法律上、以下のいずれか短いほうで完成します。

  • あなたが配偶者の不貞行為および不倫相手を知ったときから3年間
  • 不貞行為があったときから20年間(※)

時効が完成していない

上記の期間内であれば時効が完成しないため、慰謝料を請求できる可能性があります。

浮気・不倫の慰謝料請求の時効について詳しくは、以下のページをご覧ください。

慰謝料請求の時効について詳しく見る

※令和2年3月31日までに20年が経過している場合は、改正前の民法が適用され、除斥期間の経過により慰謝料は請求できません。

証拠がある

証拠がなくても慰謝料を請求すること自体はできます。
しかし、不倫相手が「不倫なんてしていない」と反論してきた場合や、裁判になった場合は、証拠によって不倫の事実を立証しなければ慰謝料を支払ってもらうことはできません。

具体的には、以下のようなものが証拠になり得ます。

  • 肉体関係があったと推測できるメール・SNSのやり取り
  • 性行為やそれに近い状況の写真・動画
  • ラブホテルや自宅に出入りする写真・動画
  • 配偶者や不倫相手が浮気・不倫を詳細に自白した録音
  • 肉体関係があったと推測できる調査会社の報告書 など

詳しくは、以下のページもご覧ください。

浮気・不倫の証拠について詳しく見る

十分な慰謝料を受け取っていない

慰謝料の請求が認められるのは、まだ十分な慰謝料を受け取っていない場合に限ります。

たとえば、離婚するケースで、配偶者から十分な慰謝料を受け取った場合、すでに浮気・不倫による損害に対する支払いが済んでいると考えられます。そのため、不倫相手に対しさらに慰謝料を請求することはできません。

慰謝料請求できる条件について詳しく見る

浮気・不倫の慰謝料を請求する方法

浮気・不倫の慰謝料を請求する方法には、以下の3つがあります。

①交渉する

まずは、口頭(電話)、または書面で不倫相手に浮気・不倫の慰謝料を支払うよう直接交渉します。
慰謝料を請求した証拠を残したい場合には、郵便局が文書の内容を証明してくれる「内容証明郵便」などを利用して請求書面を送付するのが一般的です。

内容証明郵便について詳しく見る

話合いがまとまったら、あとでトラブルにならないよう、金額や支払方法などの条件の合意内容を書面に残しておきましょう。
なお、書面は強制執行認諾文言付の公正証書にしておくと、慰謝料の支払いが滞った場合などに、相手の給料や財産などを差し押さえられるため安心です。

公正証書について詳しく見る

②調停を申し立てる

内容証明郵便を送っても連絡が来ない場合や、話し合っても合意できない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てるのも一つの手段です。
調停では、「調停委員」と呼ばれる第三者を介して話合いをすることで合意を目指します。

浮気・不倫が原因で離婚をするケースでは、配偶者への慰謝料請求について、離婚調停のなかで合意を目指すことも多いといえます。
ただし、不倫相手への慰謝料請求は、最初から裁判所へ訴訟を提起するのが一般的です。

③裁判所に訴訟を提起する

話合いで合意できない場合や、不倫相手が慰謝料請求に応じない場合には、裁判所に訴訟を提起することで慰謝料を請求します。

裁判では、証拠がとても重要です。不倫をしていた事実を客観的に示せる証拠を用意しておきましょう。
また、裁判は法的観点から適切に主張をしなければなりません。
そのため、弁護士に依頼したほうがスムーズな解決を目指せる可能性が高いです。

浮気・不倫の慰謝料に関するよくある質問

浮気・不倫の慰謝料について、お客さまからよく寄せられる3つのご質問にお答えします。

不倫をした配偶者と不倫相手の両方に慰謝料を請求することはできますか?

できます。
ただし、離婚しない場合には配偶者に慰謝料請求をしないケースが多いです。これは、夫婦の財布が同じであれば、お金が移動しただけになるためです。

また、配偶者と不倫相手の両者から慰謝料を二重取りすることはできません。
たとえば、妥当な慰謝料の金額が100万円の場合に、両者から100万円ずつ合計200万円を受け取ることはできないのです。

そのため、一般的に離婚しない場合は不倫相手だけに慰謝料を請求し、関係を解消するよう誓約書を取り交わします。
なお、不倫相手に慰謝料を請求する際、配偶者に同意を得る必要はありません。

W(ダブル)不倫の場合、慰謝料の金額にどのように影響しますか?

W不倫の場合でも、基本的には慰謝料を増減させる要素は変わりません。
ただし、あなたが不倫相手に慰謝料請求をしたことをきっかけに、あなたの配偶者が不倫相手の配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。

その際、以下のような事情があるケースでは、あなたの配偶者が支払う慰謝料のほうが高くなることもあるため注意が必要です。

  • あなたたち夫婦より相手夫婦の婚姻期間のほうが長い
  • あなたの配偶者が不倫を主導した など

浮気・不倫の慰謝料を受け取る際に税金はかかりますか?

原則としてかかりません。
慰謝料とは、損害賠償のうち精神的苦痛に対する補填であり、新たな利益が生じたわけではないためです。

ただし、裁判上の相場と比べ妥当な金額をはるかに超えている場合は、超過部分に贈与税が課される可能性があります。

まとめ

浮気・不倫の慰謝料の相場や金額について、以下のポイントを覚えておきましょう。

  • 浮気・不倫の慰謝料の相場はおよそ数十万円~300万円
  • 浮気・不倫による「損害」の大きさによって金額が変わる
  • 離婚の有無以外にもさまざまな事情によって金額が変わる

ご自身の状況と照らし合わせて、浮気・不倫の慰謝料がいくらくらいになりそうか想像してみてください。

実際に不倫相手に浮気・不倫の慰謝料を請求する場合、証拠をもとにこれまでの事情を主張・立証できるかどうかが金額の増減に大きく関わってきます。
単純に「浮気をされて非常に辛かった」と主張するだけでは説得力に欠け、適切な金額の慰謝料を認めてもらうことは難しいです。

しかし、自分で証拠を集めることは難しく、そもそもどのような証拠を集めればよいのかがわからないと思います。そして、証拠をもとに主張・立証をすることも、簡単ではありません。

そのため、浮気・不倫の慰謝料についてお悩みであれば、実務経験や法律の知識をもつ弁護士に相談してみることをおすすめいたします。

監修者情報

弁護士

池田 貴之

いけだ たかゆき

【Xアカウント】
@ikeda_adire_law

資格
弁護士
所属
第一東京弁護士会
出身大学
法政大学法学部、学習院大学法科大学院

私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。

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