恋人が浮気をしたら慰謝料請求できる?婚約中や事実婚の場合は?
みなさん、もしあなたの恋人やパートナーが浮気をしたら、どうしますか?
- 恋人が浮気をした場合でも、慰謝料って請求できるの?
- 請求できるとして、どうやって請求すればいいの?
- やっぱり、間に弁護士を入れた方がいいのかな?
慰謝料を請求したいと思ったら、このような疑問が思い浮かびますよね。そもそも、恋人の浮気を理由に慰謝料請求はできるのでしょうか?
目次
この記事を読んでわかること
恋人が浮気をしたとき、慰謝料請求ができるケースとできないケースの違いとは?
とあるカフェでの女性同士の会話を参考に、恋人に対して慰謝料請求できるケース、できないケースの違いを見ていきましょう。
- A子
- 昨日さ、友達から相談されたんだけど、その友達の彼氏が浮気したらしいよ。彼氏とか浮気相手に、慰謝料って請求できるのかな?
- B子
- 彼氏とか浮気相手に慰謝料を請求するって話、聞いたことないけど。
- A子
- でも、その子もうずっと彼氏と一緒に住んでて、うちらの間では、「もう結婚してるのと一緒じゃん」って言ってたし、最近、念願叶って、ようやく婚約もしてもらえたんだよ。
- B子
- その子の彼氏、なんでそんな状況で浮気したんだ…。婚約までしてたんだったら、慰謝料請求できなきゃかわいそうだよね。どうなんだろう?
恋人が浮気をした場合、基本的に、恋人や浮気相手に慰謝料を請求することはできません。なぜなら、慰謝料は法律上の請求なので、法律上認められた関係、つまり婚姻届を提出した「婚姻関係」になっていることが原則だからです。
しかし、A子さんの友達のように、結婚しているのと同じような状態にある場合(内縁関係)や、結婚の約束(婚約)をしているような場合でも、慰謝料を請求できることがあります。以下で詳しく見ていきましょう。
慰謝料請求ができるケース
恋人と「婚約」している場合
婚約とは、将来結婚の約束をすることをいいます。ただし、「将来は結婚しようね」という2人の間での約束だけでは足りず、結婚の具体的な準備が進んでいる・家族など第三者を巻き込んでいるなど、かなり具体的に「結婚の一歩手前の状態」でなければいけません。
結婚の具体的な準備が進んでいる
- 結婚式場の下見に行った
- 婚約指輪を渡していた
家族など第三者を巻き込んでいる
- 両家の両親に挨拶をしていた
- 結納していた
※これらは一例であり、すべてに当てはまらないと「婚約」したことにならないというわけではありません。
「婚約」の証明は、法律上は簡単ではないと言われています。しかし、このような婚約の事実があり、さらに恋人が第三者と肉体関係を持ったことを証明できた場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
恋人と「内縁関係」にある場合
内縁関係とは、婚姻届を提出していないだけで、外から見たら「あの2人の生活ぶりは、夫婦と同じだよね。」といえる男女の関係をいいます。最近、よく「事実婚」と言われるカップルがおられますが、これも内縁関係の一種といえます。
二人の関係
- 長期間同居しており、将来、婚姻する意思を有していた
- 家計を共にしていた
- 結婚式を行った
家族など第三者を巻き込んでいる
- 両親の顔合わせを行った
- 親族や周囲の人に対して、夫婦であることを表明していた
※これらは一例であり、すべてに当てはまらないと「内縁関係」にあるとはいえないというわけではありません。
男女が「内縁関係」にあるといえる場合には、慰謝料の請求が認められる可能性はあります。もちろん、内縁関係の証明もそう簡単ではありませんが、内縁関係の事実があり、さらにパートナーが第三者と肉体関係を持ったことを証明できた場合には、慰謝料を請求できる可能性があります。
慰謝料請求ができないケース
婚約が認められないとされた裁判例
- X:慰謝料を請求した人
- A:Xの恋人
- Y:Aの浮気相手(慰謝料を請求された人)
XとAは婚約し同居していたところ、AとYが肉体関係を持ったことにより、XとAとの関係が破綻したと主張して、XがYに対して慰謝料を請求したという事案です。XとAとの間において婚約の成立をうかがわせる客観的な証拠は、自宅マンションの申込書のみであり、また両者(XとA)は、結納や結婚式場の下見、婚約指輪の購入などをしていないといった事情等から、婚約が認められないとして、XのYに対する慰謝料請求を認めませんでした(東京地方裁判所・平成29年10月30日の判断)。
裁判例からもわかるとおり、自宅マンションの申込書のみでは証拠として弱く、結納や結婚式場の下見をした、婚約指輪を購入したといった具体的で客観的な証拠がなければ、慰謝料の請求は認められません。
恋人の浮気によって獲得できる慰謝料の相場は?
では、恋人と婚約や内縁関係にあったことが認められ、慰謝料が請求できる場合、浮気をした恋人から、どのくらいの金額を支払ってもらえるのでしょうか?
一般に、浮気をした恋人に支払ってもらえる金額は、数十万円から300万円程度だと言われています。なぜ、このように金額の幅があるかというと、交際開始から婚約まで日の浅いカップルもいれば、長い年月の間、内縁関係にあったカップルもいるなど、さまざまなケースがあるからです。
もっとも、300万円という金額が認められるのは、たとえば、何回も妊娠させた、長年のカップルの関係を壊す目的でしつこく誘ったなどの事情がいくつもあるような「浮気が相当に悪質なケース」であるため、一般的には、数十万円から200万円の間で慰謝料金額が決まると考えてよいでしょう。
恋人の浮気に対して慰謝料請求をする方法・証拠例について
続いて、慰謝料請求をする方法、証拠例について彼女たちの会話を参考に見ていきます。
- A子
- 恋人が浮気したときでも、慰謝料を請求できることがあるんだね。
- B子
- A子の友達だったら、慰謝料を請求できそうじゃない?
- A子
- そうだね。でもさ、慰謝料の請求って、どうやってやるの?なんだか大変そうじゃない?
- B子
- たしかに、どうやって請求するのがいいのかな?やっぱり、弁護士さんに頼むのがいいのかな?
慰謝料を請求する方法
恋人と肉体関係を持った浮気相手に対して、慰謝料を請求する方法として、①話合いと②裁判の2つがあります。弁護士を使わずに、自分で話合い・裁判をする場合を比較してみましょう。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
話合い | 時間や手間があまりかからない | 相手が応じてこないと話合いが進まない。 |
裁判 | 証拠によって浮気を証明できれば、強制的に取立てができる | 裁判費用の出費、出廷・書面の準備に時間や手間がかかる |
話合いで解決すればよいですが、話合いでまとまらなければ、裁判になることもあります。
そして、裁判をするためには、証拠が必要です。そこで以下では、どのような証拠が必要になるのか、その代表的な例を見てみましょう。
浮気を証明するための証拠例
- 恋人が浮気相手とホテルや浮気相手の自宅に出入りしている写真
(入るところと出てくるところの両方を押さえておくとよいでしょう) - 恋人と浮気相手とのLINEやメールなどの通信記録
- 恋人と浮気相手が一緒に映っている写真、ホテルで過ごしていることがわかるレシートなど
これらの証拠があれば、一般的に、恋人と浮気相手との間で肉体関係があったと考えられます。ほかにも、肉体関係があったとうかがわれる証拠になりそうなものがあれば、収集しておくとよいでしょう。
婚約・内縁関係を証明するための証拠例
婚約している場合
- 婚約指輪
- 結婚式や新婚旅行の予約票、実際に式場を下見したときの写真など
- 結納をしたことを示す資料
- 親族や友人からの証言
内縁関係にある場合
- 住民票(同じ世帯に入っている)
- 賃貸借契約書(続柄の記載欄に妻・夫などの記載がある)
- 健康保険の被扶養者になっている
これらの証拠があれば、婚約中や内縁関係であったことを証明できる場合があります。なお、婚約を証明する証拠は、そのまま内縁関係にあったことをも証明する証拠になりえます。反対に、内縁関係を証明する証拠は、婚約していたことを示す証拠にもなりえます。
また、どのような証拠であれば、婚約や内縁関係を証明できるかについては、専門的な知識が必要になりますので、判断に迷ったときには、弁護士に相談するとよいでしょう。
浮気における慰謝料請求を弁護士に依頼するメリットとデメリットについて
弁護士に依頼すると、以下のようなメリットがあります。
まず、恋人や浮気相手と話合いをする場合、浮気されたショックのなかで話合いをしなければならないので、そのストレスが生じますが、弁護士に依頼するとあなたが恋人や浮気相手と直接やり取りすることなく慰謝料を請求することが可能です。
また、恋人や浮気相手に対して、裁判を起こす場合、弁護士は法律の専門家ですから、裁判所への出廷や書面の作成などを安心して任せることができます。
これに対して、慰謝料請求を弁護士に依頼する場合のデメリットとしては、やはり弁護士費用が生じてしまう点が挙げられます。
けれども、メリットとデメリットを比較すると、メリットのほうが大きいことも多々あり、弁護士費用の出費を考慮したとしても、弁護士に依頼する方が多いのです。婚約中や内縁関係にあるのに、ほかの異性と肉体関係を持たれてしまった場合、そのショックは計り知れないものでしょうし、そういった面からも弁護士に依頼する意味は大きいでしょう。
浮気における慰謝料請求を弁護士に依頼する場合の費用について
婚約中の浮気、内縁関係での浮気については、結婚している場合と異なり、弁護士費用をはっきりと書いていない弁護士事務所も多いです。弁護士費用がいくら必要になるかは、依頼しようとする事務所によって異なりますので、まずは見積書をもらって、費用をよく確認するようにしましょう。
事務所によっては、相談料や着手金が無料のところもあれば、相談料は30分5,000円というところもあります。ただ、安ければいいというわけではなく、解決実績や弁護士の対応なども踏まえながら、検討されることをおすすめします。ご自身のお財布と相談しながらも、信頼できる法律事務所を見つけられるといいですね。
【まとめ】浮気・不倫の慰謝料請求なら弁護士におまかせください
婚約中や内縁関係にある場合、その関係を証明しなければならないというハードルがあるため、結婚している場合と比べて、慰謝料請求が難しいことが少なくありません。しかし、「婚姻届」を出していないからという理由だけで、慰謝料請求を諦める必要はありません。これまで述べてきたように、婚姻中や内縁関係であったという具体的な証拠が認められれば、慰謝料を請求できる可能性があります!
もし、ご自身で慰謝料を請求することに“ためらい”がある場合には、弁護士に相談してみてもよいかもしれません。あなたの気持ちに寄り添いながら、浮気された怒りや悲しみを主張してくれるような、心強い味方(弁護士)に出会えるといいですね。
アディーレ法律事務所には、慰謝料請求について詳しい弁護士が多数在籍しています。浮気・不倫の慰謝料請求をお考えの方は、お気軽にご相談ください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。