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不倫は犯罪?不法行為との違いやリスク、犯罪に繋がる可能性があるケース

不倫は、妻(夫)を裏切り傷つける行為です。そのため、なかには「不倫は犯罪じゃないの?」と疑問に感じる方もいらっしゃるかもしれません。

実は、不倫そのものは犯罪にはあたりません。
しかし、不倫に伴う具体的な行動によっては、犯罪に繋がるケースもあります。また、さまざまな法的リスクを伴う行為であることには変わりないため、正しく理解しておくことが大切です。

このコラムでは、不倫の法的な位置づけと犯罪との違い、不倫のリスク、不倫が思わぬ犯罪に繋がるケースについて弁護士が詳しく解説します。
また、不倫された方が取るべき行動や、適切に不倫の責任を取らせる方法も解説していますので、ぜひ最後までご覧ください。

この記事を読んでわかること

  1. 不倫は犯罪ではなく不法行為
  2. 不倫が犯罪に繋がるケース
  3. 不倫の責任を取らせるための方法

不倫は犯罪ではなく不法行為

不倫は犯罪ではなく、民事上の不法行為である「不貞行為」にあたります。
以下で、犯罪行為との違いと、不倫が不貞行為と認められる要件を詳しく見ていきましょう。

犯罪行為と不法行為の違い

犯罪行為とは、刑法等の法律により刑罰の対象と定められた行為です。
犯罪行為が認められると、刑事上の処罰(刑罰)を科されます。

一方で不法行為は、故意または過失によって他人の権利や法律で守られた利益を侵害する行為です。
不法行為は、犯罪と異なり刑事上の処罰対象とされるものではありません。ただし、不法行為によって他人に損害を与えた場合は、民事上の損害賠償責任が生じます。

不倫が不法行為である「不貞行為」と認められるには?

不倫は他人に精神的苦痛という損害を与えるものであることから、不法行為とみなされる可能性があります。

ただし、「不倫」は法律で定められた言葉ではないため、必ずしも不法行為と判断されるわけではありません。民法上の不法行為である「不貞行為」が認められるには、少なくとも以下の3つの条件を満たす必要があります。

  1. 肉体関係があること
  2. 自由な意思に基づくものであること
  3. 夫婦関係にあること

詳しくは以下のページでも解説していますので、参考にしてみてください。

不倫は罰せられないがリスクはある

このように、不倫は犯罪行為ではないため、刑事上の罰は科されません。
しかし、不倫には以下のようなリスクがあります。

慰謝料請求の対象となる

不倫が「不貞行為」と認められた場合、不倫をされた方(被害者)は、不貞行為(不法行為)を原因とした精神的苦痛(損害)に対する賠償として、不倫相手や配偶者に慰謝料を請求できます。

不倫の慰謝料の金額は、個別の事情によって異なりますが、相場は以下のとおりです。

不倫の慰謝料の裁判上の相場
別居や離婚をする場合 およそ100万円~300万円
別居や離婚をしない場合 およそ数十万円~100万円

このように、不倫は刑事罰を科せられないものの、金銭による損害賠償責任を負う可能性があります。

法律上の離婚原因となる

離婚は、原則として夫婦がお互いに合意しなければ成立しません。
ただし、不貞行為は法律上の離婚原因である「法定離婚事由」の一つです。法定離婚事由が認められる場合には、一方が「離婚したくない」と主張しても、裁判手続によって離婚が成立します。

つまり、たとえば不倫をした夫(妻)が拒否しても、不倫をされた妻(夫)に離婚の意思があれば、離婚が認められる可能性があるということです。

社会的な信用がなくなる

不倫をしたことが周囲に知られた場合などには、信用を失う可能性もあるでしょう。

なお、職場に不倫が知られたとしても原則として解雇されることはありません。ただし、職場に居づらくなり退職せざるを得なくなるおそれもあるといえます。

不倫が犯罪に繋がる可能性のあるケース

不倫は原則として民事上の「不法行為」ですが、具体的な事情によっては犯罪行為が認められることもあります。
たとえば、以下のようなケースです。

  • 不倫相手が未成年のケース
  • 不倫相手に肉体関係を強要したケース
  • 不倫相手につきまとったケース

それぞれ詳しく見ていきましょう。

不倫相手が未成年のケース

不倫相手が未成年(18歳未満)であることを知りながら肉体関係を持ったケースでは、青少年健全育成条例違反として刑事罰が科される可能性があります。
罰則は都道府県や状況などによってさまざまです。たとえば、東京都では未成年者と性交または性交類似行為におよんだ場合、2年以下の懲役または100万円以下の罰金に科せられます。

また、不倫相手が16歳未満のケースでは、同意があったかどうかにかかわらず、不同意性交等罪が成立します。不同意性交等罪の罰則は、5年以上の拘禁刑です。

不倫相手に肉体関係を強要したケース

不倫相手に対して肉体関係を強要し、「断れない状況」にしていたケースでは、不同意性交罪が成立し、5年以上の拘禁刑に科せられます。

また、肉体関係に至らなくとも、暴行・脅迫を用いた肉体関係の要求や、肉体関係を持たないことと引き換えに金銭の要求をしたような場合、強要罪や脅迫罪、恐喝罪などに問われる可能性があるでしょう。

不倫相手につきまとったケース

たとえば不倫関係を解消したあと相手にしつこくつきまとった場合などには、ストーカー規制法違反として刑事罰が科される可能性があります。
罰則は、1年以下の懲役または100万円以下の罰金です。

つきまとい行為にあたるのは、待ち伏せや押しかけだけではありません。以下のような行為も、つきまとい行為等とみなされ、これらを反復して行う場合、「ストーカー行為」として刑罰の対象となります。

  • 監視していることを伝える行為
  • しつこく交際を迫る行為
  • 連続した架電・メールの送信
  • GPS機器などで位置情報を取得する行為 など

不倫された側が注意すべき犯罪になる行為

不倫された方が不倫相手や配偶者に対し怒りや悔しさを抱くのは当然です。しかし、不倫された側であっても、感情にまかせて行動すべきではありません。

たとえば、以下のような行為をしてしまうと犯罪行為にあたるとして責任を問われるおそれがあります。

  • 違法な手段で不倫の証拠を集める
  • 不倫の事実を第三者に言いふらす
  • 自宅や職場へ怒鳴り込む

それぞれ詳しく見ていきましょう。

違法な手段で不倫の証拠を集める

違法性を疑われる方法で集めた証拠(違法収集証拠)は、証拠として認められない可能性があります。また、罪に問われるおそれもあるため注意が必要です。

たとえば、配偶者のID・パスワードを使用してSNSに不正にログインした場合などには、不正アクセス禁止法違反とみなされる可能性があります。
また、位置情報などを盗める不正アプリを勝手に配偶者のスマホにインストールした場合には、不正指令電磁的記録供用罪が成立する可能性もあるでしょう。

不倫の事実を第三者に言いふらす

不倫の事実を不倫相手や配偶者の会社や友人・知人などに言いふらす行為や、SNSで名前を出して拡散する行為は、名誉棄損罪にあたるとして責任を問われるおそれがあります。

特にSNSで拡散してしまうと、同姓同名の人の名誉を傷つけてしまう可能性もあるため注意が必要です。

自宅や職場へ怒鳴り込む

不倫相手の自宅や職場に怒鳴り込んで不適切な発言をしたり、万が一暴力を振るってしまったりした場合、脅迫罪・恐喝罪などに問われるおそれがあります。

また、職場不倫の場合などには、不倫相手と配偶者が今後も接触する機会があるため、「退職してほしい」と思うかもしれません。しかし、退職を強要すると、場合によっては強要罪にあたると判断されるおそれもあるため注意しましょう。

不倫の責任を取らせるなら弁護士にご相談を

このように感情的に行動すると、不倫された方が反対に法的責任を問われてしまいかねません。
そのため、不倫相手に責任を取らせたいのであれば適切な方法で慰謝料を請求しましょう。あわせて、不倫関係をやめることを約束させれば、不倫の再発防止にも繋がります。

慰謝料請求はご自身で行うこともできますが、弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士に相談すれば、状況に合わせて証拠集めや今後の対応について具体的なアドバイスをしてもらえます。交渉や書面の作成なども一貫してサポートしてもらえるため、安心です。

不倫は犯罪ではありませんが、弁護士を通して慰謝料を請求することで、不倫相手と配偶者にことの重大さを気付かせることができるでしょう。

まとめ

不倫自体は犯罪ではないため、刑事上の罰が科されることはありません。ただし、具体的な行動によっては犯罪に繋がるおそれもあります。

また、不貞行為が認められれば、不倫された方は慰謝料を請求することが可能です。不倫をやめるよう約束させることができれば、再発防止にも繋がるでしょう。

不倫の慰謝料を請求するなら、弁護士に相談するのがおすすめです。
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求に関するご相談を何度でも無料で承っております。お一人で悩まず、まずはお気軽にご相談ください。

監修者情報

弁護士

池田 貴之

いけだ たかゆき

【Xアカウント】
@ikeda_adire_law

資格
弁護士
所属
第一東京弁護士会
出身大学
法政大学法学部、学習院大学法科大学院

私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。

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※2024年11月時点。