熟年不倫発覚!慰謝料はいくら?財産分与はできる?
健康寿命の延伸に伴い、熟年不倫も増加傾向にある昨今。一口に熟年不倫と言っても、年を取ってから不倫に走るケースもあれば、若いころの不倫が最近になって発覚するケースも…。
「もう若くないのに不倫だなんて信じられない…」
「そんな昔のことについて、慰謝料を請求できるわけがない」
最近増えている熟年不倫にまつわる疑問について、弁護士が法的な観点から詳しく解説します!
目次
この記事を読んでわかること
熟年不倫の法律相談は増えている?
一昔前に比べて、熟年不倫の法律相談は増えています。ここ最近は、「熟年不倫」という言葉も珍しくなくなりました。
単純に熟年不倫そのものが増えたのか、弁護士に相談しようと思う人が増えたのかはわかりません。しかし、世の中には相当数の熟年不倫カップルがいるようです。
では、思いがけず熟年不倫が発覚した場合、どうすればいいのでしょうか。
離婚したほうがいい?離婚しないほうがいい?
精神的なメリット・デメリット
熟年不倫とわかれば、「離婚」という言葉が頭をよぎる方も多いでしょう。
不倫をした人は、自分を裏切った人ともいえる訳ですが、そのように自分を裏切った人と今後も一緒に過ごしていくのは、かなりストレスが大きいことでしょう。また、「今後も再び不倫をするんじゃないか…」という不安を完全に拭うことができない方も多いのではないでしょうか。
しかし、熟年離婚は簡単なことではありません。長年連れ添い、築いてきた夫婦関係を絶つのは大きな決断でもあります。夫婦に関わる親族関係・友人関係、ご近所付き合いなど多くの人間関係にも影響はあるでしょう。
弁護士としてご相談を受けていると、気持ちをスッキリさせたいから離婚するという方、夫婦関係を修復していきたいから離婚しないという方、どちらもいらっしゃいます。一瞬の感情で決めるのではなく、ご自身のお気持ちを優先しながらも、後悔しない決断ができるといいですね。
経済的なメリット・デメリット
離婚するとして、今後あなたは一人で生活できるでしょうか?
お金の面では、どういうメリットやデメリットがあるかも考えないといけません。
家事を一人でやらなければなりませんし、生活を支えるためにお金も必要になります。専業主婦(主夫)の方であれば、働く必要が出てくるかもしれません。
しかし、年齢を重ねて働くのはとても大変です。すぐに仕事が見つかるのか、長く働き続けられるのか、そういった不安もあるでしょう。
では、離婚時にお金をもらえば、解決するのでしょうか?
このように、離婚時に財産を分け合うことを財産分与と言います。財産分与によって財産をもらえることは、経済的なメリットと言えます。
熟年離婚の財産分与とは?
財産分与として配偶者からもらえるのは、最大で「夫婦が結婚期間中に手に入れた財産の半分までの金額」であることが一般的です。
たとえば、結婚後に夫が預金500万円を貯めていたならば、その半分の250万円をもらえる可能性がありますし、結婚後にローンで買ったマイホームがあれば、その価値の半分の額がもらえる可能性があります。
もし、家が賃貸ということであれば、預金・保険金の半分だけしかもらえないので、それに加えて老後にもらえる年金だけで生活していかないといけません。
財産分与と不倫の慰謝料の関係
ここまでの説明を読むと、「自分は不倫されたのだから、財産分与は多くもらう権利があるはずだ」、「自分は不倫をされたのだから、今後の生活を保障してほしい」と考えるのが自然でしょう。
しかし、財産分与と不倫の慰謝料は、法律上、別問題として扱われます。財産分与は、あくまで結婚生活中に貯めた財産を2人で分けるという制度であり、残念ながら離婚後の生活までを保障するものではないのです。
また、不倫の慰謝料についても、夫や妻にお金がないと多くは支払ってもらえないので、確実に支払ってもらえるかには、不安が残ります。
そう考えると、熟年不倫の場合、離婚してからの生活が苦しくなることを考えて、離婚に踏み切れないという方が多いように思います。
離婚しないことになったけど不倫が許せない!どうすればいい?
熟年不倫の結末は、何も離婚だけではありません。不倫相手に慰謝料を請求することもできます。慰謝料請求の際に、「これ以上、不倫関係を続けないでほしい!」、「自分のしたことの責任を取ってほしい!」と交渉することもできます。
このように離婚をせず、不倫相手に慰謝料を請求して、安心して離婚後に備えるというのも一つの方法でしょう。
では、不倫相手に対して慰謝料を請求するには、何から始めればいいのでしょうか?
慰謝料請求の時効について
長年連れ添った配偶者の何年も前の不倫が発覚したとして、果たして昔の事なのに慰謝料を請求できるのか気になりますよね。まずは時効について説明します。
不倫相手に対して慰謝料を請求するにも時効が存在します。具体的には、不倫の事実を知った日から3年で時効となり、3年を過ぎると慰謝料が請求できなくなるのが原則です。
また、不倫の事実を知らない、または配偶者の不倫相手が誰か特定できないままの場合、不倫の日から20年が経過すれば時効が成立し、慰謝料請求ができなくなる可能性があります。
さらに、不倫をした夫や妻に対して慰謝料を請求したいと考えた場合、夫婦間で慰謝料を請求すると、婚姻期間中は時効が成立しません。それは、夫婦の共有財産から慰謝料を支出することになり、たとえ慰謝料を支払ったとしても夫婦間の共有財産であることに変わりない(財布が同じなので意味がない)からです。
加えて、離婚をしたあと6ヵ月以内であれば、時効が成立しないという例外があります(民法第159条)。
証拠集め
次に、不倫の証拠を集めましょう。証拠があれば言い逃れはできません。
また、あなたの夫や妻が「離婚したい」と言い出しても、不倫の証拠があれば、離婚の要求を拒否できます。なぜなら、自分が不倫をしておきながら、一方的に離婚できると裁判所は認めていないからです(最高裁判所昭和62年9月2日判決民集第41巻6号1423頁)。
証拠は、不倫相手とのメールやSNSでのやり取り、ツーショット写真など不倫がわかるものを集める方が多いです。
不倫をした配偶者の自白があれば、文書化や録音などをして、証拠化しておくことも重要です。
連絡先を把握する
慰謝料を請求するのであれば、不倫相手の連絡先が必要です。
相手の名前(フルネーム)、住所、電話番号、勤務先、LINEやマッチングアプリのアカウントなどを把握しておきましょう。
不倫をした夫・妻から相手の連絡先を教えてもらうのが一番手っ取り早いです。もし、どうしても連絡先がわからなければ、弁護士に相談しましょう。弁護士は、弁護士の権限である「職務上請求」や「弁護士照会」という方法で、相手の連絡先を調べることができるからです。
熟年不倫による慰謝料の請求方法と相場
証拠も連絡先もつかんだら、あとは不倫相手に慰謝料を請求するだけです。請求は、自分で交渉する方法と弁護士に依頼する方法の2つがあります。
また、慰謝料には、おおよその相場がありますので、請求方法と併せて詳しく見ていきましょう。
自分で交渉する方法
慰謝料請求は、自分一人で行うことができます。
請求の際は、不倫相手に対して、不倫をした夫・妻と肉体関係を持ったことを理由に慰謝料を請求することと、請求する金額を伝えることが必要です。
しかし、不倫相手と直接コミュニケーションを取ることは、精神的に負担が大きいはず。また、あなたが気づかぬ間に、自分にとって不利な言動をしてしまうおそれもあります。
弁護士に依頼する方法
弁護士に慰謝料請求を依頼する場合、交渉はすべて弁護士に任せることができます。不倫相手と接触することがないため、あなたの精神的な負担を軽減できるでしょう。
また、「今後、不倫相手と不倫をした夫・妻が一切連絡をしないように」との約束をさせることもできますし、相手が不倫について言いふらしたり、インターネット上に書き込んだりすることをやめさせることもできます。
さらに、弁護士は交渉のプロですので、こちらに不利な言動をしてしまうこともありません。もし、話合いで合意できなくても、裁判で決着をつけることができます。
慰謝料の相場
不倫の慰謝料請求の裁判上の相場は、一般的には、以下のようになっています。
特に、離婚しない場合と離婚する場合とで、大きく異なります。
婚姻関係を継続する場合 | 数十万円~100万円 |
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婚姻関係が破綻・離婚する場合 | 100万円~200万円 |
また、若い頃から続く長期間の不倫であり、交際期間が10年以上におよぶなど、悪質な不倫の場合は、もっと高額になる可能性もあります。
【まとめ】不倫の慰謝料請求なら無料相談ができるアディーレの弁護士におまかせください
長年連れ添った配偶者の不倫が発覚。慰謝料請求や財産分与、受け取れる年金はどうなるのか、離婚したほうがいいのか、はたまた離婚しないほうがいいのかなど、悩みは尽きませんよね。
もし、少しでも慰謝料を請求したいというお気持ちがある方は、まずは弁護士に話を聞いてみませんか?
アディーレ法律事務所では、不倫の慰謝料請求について、弁護士による相談を無料で承っております。
「離婚した場合はどうなるの?」、「相手の連絡先がわからなくて困っている」。
そういったご相談やご質問でも構いません。迷っているなら、お気軽にお電話ください!アディーレの弁護士が、あなたの力になります。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。