浮気・不倫における示談書の簡単な作り方【女性向け】
夫の不倫が突然発覚したとき、あなたならどう考えますか。
「その女性にお金を払ってもらいたい!」と希望するか、「うちの旦那に、もう近づかないでほしい!」と希望するか。
人によって、希望する解決方法は異なります。
このコラムでは、「夫の不倫した相手と何を話し合い、慰謝料請求をするにあたってどのような書面を作成したらよいか」について、弁護士がわかりやすく解説します。
目次
この記事を読んでわかること
浮気・不倫における慰謝料請求の示談書とは
浮気・不倫問題では、相手方に聞いておくべきことや、約束させるべきことはたくさんあります。大きく分けると、「お金の支払いの約束」と「お金以外の約束」に分けられます。
- お金の支払いの約束:「〇〇円支払ってください」など
- お金以外の約束:「もう夫と会わないで」、「今回の件を他人に言いふらさないで」など
お金の支払いの約束
一番シンプルな合意書は、以下のようになります。
合意書
佐藤A子(以下「甲」という。)と鈴木B子(以下「乙」という。)とは、乙が甲の配偶者である佐藤C太郎(以下「丙」という。)と不貞行為をした件について、以下のとおり合意する。
- 乙は、甲に対し、丙との間で不貞行為を行い、甲に対して精神的苦痛を与えたことを認める。
- 乙は、甲に対し、本件の不貞行為による損害賠償債務として、金100万円の支払義務があることを認める。
- 乙は、甲に対し、令和3年5月1日限り、前条の金員を下記の銀行口座に振り込むことによって支払う。振込手数料は乙の負担とする。
記
- 金融機関名
- アディーレ銀行
- 本支店
- 大阪支店
- 口座番号
- (普通)1234567
- 名義
- 佐藤A子
- 甲と乙は、本件に関し、本合意書に定めるもののほか、何らの債権債務のないことを相互に確認する。
甲 住所 大阪市中央区・・・・
氏名 佐藤A子
乙 住所 東京都千代田区・・・
氏名 鈴木B子
注意点
①不貞行為があったことの確認
何のための支払いなのかという点を明らかにしておくのがよいでしょう。
不倫の慰謝料なのか、不倫がバレてケンカになったときにかかった治療費の件なのか、などがはっきりしないままだと、あとでもめる原因になります。
②支払い金額
はっきり金額を決めておきましょう。
③支払いの日時・支払いの方法
金額だけ決めて、「いつ」までに支払うのかを決めないと、約束したのは「いつか支払う」ということだけになってしまいます。「支払ってくれ」と言っても、「いつか払うよ」と言うだけで、なかなか支払いをしてもらえないというリスクがあります。
また、支払方法も重要です。銀行振込みは、通帳に「鈴木B子から100万円が振り込まれた」という記録が残りますので、おすすめです。
現金で手渡しは、渡したことの証拠が残りませんので、やめましょう。
④清算条項
これがないと、慰謝料を支払わない理由として、「自分は今回の件で佐藤A子さんから嫌がらせを受けた。その慰謝料として100万円をもらいたいから不倫の慰謝料は支払わない。」などと言われ、他の債権があったことを理由に支払いを拒否されるかもしれません。なお、「100万円では足りなかったので追加で欲しい」ということも言えなくなるので、この点には注意しましょう。
示談書さえ作っておけば支払ってもらえるのか
示談書は、話合いをし、お互い納得したうえで作成することが大事です。
口約束で一方的に「支払え」と言ったり、また、こちらで一方的に作った書面に無理に名前を書かせるような強引な方法を使ったりした場合、相手はその内容に納得できないでしょう。支払いを拒みたいという気持ちである相手から支払ってもらうのは至難の業です。
公正証書を作るという手段もある
公正証書とは、公証役場という国の機関に出かけていき、作成するものです。詳細は別の記事に譲りますが、手段の一つとしてあることを覚えておきましょう。
お金以外の約束
お金を支払ってもらうだけではなく、「もう、夫と会わないでほしい」、「今回の件を他の人に言いふらさないでほしい」といった不倫相手への希望があると思います。
接触禁止条項
乙は、合理的な理由がない限り、丙に接触しないことを甲に約束する。
「約束を破ったら、違約金を支払う」という条項を入れることも可能。ただ、違約金を100万円などとあまり高い金額にすると、「会っただけで100万円というのはおかしい」ということで、効果が認められないこともあります。
口外禁止条項
甲及び乙は、本件に関し、一切他人に口外しないことを互いに約束する。
甲(=請求している側)もこの約束に拘束されるように定めるのが普通です。そのため、違約金についての条項を入れないことのほうが多いです。
その他
求償権放棄や残額免除など、ほかにもいろいろな制度があります。詳しい取決めをする場合は、法律の専門家に相談されることをおすすめします。
示談書作成のポイント
自分で示談書を作成するときのポイント
示談書はどちら側(請求者 or 被請求者)が作成するのか
示談書は、不倫をされた側(請求者)・不倫をした側(被請求者)のどちらが作成しても問題ありません。
重要なのは、「合意した内容がきちんと記載されているか」です。
なお、このような不倫問題では、不倫された側(妻)が不倫した側(相手方)に対して約束してほしいことがたくさんあるはずですので、不倫された側(妻)が積極的に示談書を作成することをおすすめします。
注意点
示談書は、一旦作成するとあとからその内容を変更することは極めて難しいです。ですから、必要事項をきちんと盛り込んで作成しましょう。
なお、「これでいいのかな・・・?」と、示談書の作成で迷われたら、弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
示談書の作成だけ依頼したいときのポイント
法的な書面の作成を依頼できる専門家には、弁護士のほかに行政書士や司法書士という資格を持った方がいらっしゃいます。不倫の慰謝料についての示談書を作るという場合には、それぞれ、どう違うのでしょうか。
示談書の作成 | 交渉 | |
---|---|---|
行政書士 | 可能 | 不可 |
司法書士 | 可能 | 可能だが、法的に交渉できる金額の制限がある。 |
行政書士に示談書作成を依頼するときの注意点
行政書士は、代理人として相手方と“交渉”することができません。また、代理人として訴訟提起もできません。
司法書士に示談書作成を依頼するときの注意点
司法書士は、代理人として相手方と“交渉”することはできますが、対応できる金額に制限があるため、慰謝料額140万円を超える交渉はできません。そのため、高額の慰謝料を求めたい場合は、弁護士へ依頼する必要があります。
示談交渉と示談書作成の2つを依頼したいとき
示談書の作成 | 交渉 | |
---|---|---|
弁護士 | 可能 | 可能(金額の制約なし) |
弁護士へ示談書の作成を依頼するという方法があります。
弁護士は法律のプロフェッショナルであり、示談交渉も示談書の作成も両方できますし、交渉できる金額の制限もありません。弁護士に依頼することで、慰謝料の金額や相手に求めたい約束時効などについての交渉はもちろん、不倫問題の蒸し返しの予防を図る示談書の作成も同時に依頼することができますので、将来的にも安心です。
【まとめ】慰謝料請求なら無料相談ができるアディーレの弁護士におまかせください
アディーレ法律事務所では、これまで多くの不倫問題のご依頼を受け、依頼者の方にご満足いただける結果を出してきた実績があります。また、全国に支店があり、不倫慰謝料専門の弁護士が多数在籍しております。
相談料は無料!浮気・不倫の慰謝料請求をしたい方は、ぜひ一度ご相談ください。
あなたの声に寄り添い、全力でサポートいたします。ご一緒に明るい未来へ一歩踏み出しましょう。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。