審判前の保全処分の申立てによる子の引渡しとはどのようなものですか?
審判前の保全処分とは、権利の対象を仮に確保することなどを求める手続をいいます。家事審判の確定まで待っていると、権利の実現が事実上困難になる場合に備えて、審判前の保全処分の申立てを行います。たとえば、子どもに適切な監護を受けさせるための子どもの仮の引渡しや、配偶者の浪費などから夫婦の共有財産を守るための仮の差押えを求める手続などがあります。
ここでは、仮に子どもの引渡しを求める手続のことを説明します。子どもの引渡しにおける審判前の保全処分は、正式に子どもの引渡しを求める手続である子の引渡しを求める審判と一緒に申し立てられることが多いです。子どもが連れ去られた際には、子の引渡しの審判によって元の親のところに子どもを戻すように求めることができます。
しかし、子の引渡し審判は、裁判所の決定(審判)が出されるまでに時間がかかり、その間に子どもが適切な監護を受けられず、心身に重大な危険が生じるおそれがあります。そのような場合に、審判前の保全処分の申立てを行い、申立てが認められれば家庭裁判所が仮に子の引渡しを命ずることができます。
なお、審判前の保全処分は、審判の申立てだけではなく、調停の申立てがあった場合にも申し立てることができます。