離婚用語集

離婚用語集

あ行の用語

悪意の遺棄 [あくいのいき]

正当な理由がないのに、夫婦間の同居義務や協力義務、扶助義務をせずに、配偶者を放っておくことをいいます。典型例としては、「相手方が同居は嫌だといって一方的に自宅を去り、妻子の面倒を見ない行為」がこれに該当します。「悪意の遺棄」に該当すると認められれば、裁判上の離婚原因となります。

夫婦間の同居・協力・扶助義務を果たさない態様としては、「積極的に自宅を去ること」はもちろんのこと、「いったん単身赴任をした後に、そのまま自宅に戻ろうとせずに同居を拒否する」といった消極的なものであっても、「悪意の遺棄」にあたると考えられています。

正当な理由があって、これらの義務を果たせない場合は、離婚原因としての「悪意の遺棄」にあたりませんが、正当な理由があるか否かは、別居の目的や、夫婦の生活状況、生活費の負担の状況、別居の態様・期間等を総合的に考慮して判断されます。

慰謝料 [いしゃりょう]

精神的苦痛に対する損害賠償金のことです。損害賠償は、大きく分けて「財産的損害の賠償」と「精神的損害の賠償」に分類されますが、このうち、「精神的損害の賠償」を指すものが「慰謝料」となります。

離婚をする場合には、離婚の原因となった相手方の有責行為によっても大きな精神的苦痛を被りますし、そもそも離婚によって「配偶者という地位」を失うこと自体によっても大きな精神的ダメージを受けることとなります。

離婚を決意する際には、(1)配偶者の浮気という行為、(2)DVを受けたという行為、(3)生活費も入れずに妻子を放置して家を出て行ってしまったという行為、(4)離婚せざるを得なくなったという事実それ自体、といったさまざまな要素につき、相応の精神的苦痛を被ることとなります。

離婚の際には、こうした精神的な苦痛について、「慰謝料」として損害賠償を請求することとなります。実際には、個々の離婚原因や有責行為による慰謝料と配偶者の地位を失うことに対する慰謝料などを、ひとまとめにして考えることも多いのですが、適正な慰謝料額を算定するうえでは、個々の離婚原因等を分析し、別個に算定することが有益な場合があります。

慰謝料的財産分与 [いしゃりょうてきざいさんぶんよ]

相手方のせいで離婚せざるを得なくなったことに対する慰謝料、という意味でなされる財産分与のことをいいます。

既に慰謝料的財産分与をしていても、請求者の精神的苦痛を補うに足りないと認められる場合、別途足りない分につき慰謝料請求をすることができます。なお、慰謝料請求と慰謝料的財産分与の2つの手続を行っても、慰謝料の意味でもらえる財産の総額が2倍になるわけではありませんので注意が必要です。

委任状 [いにんじょう]

第三者に委任したことを証明する書類です。

調停・審判や訴訟等の裁判手続の代理を弁護士に依頼した場合、裁判所に委任状を出さなければなりません。委任状の用途によっては、委任状に実印を押す必要があるものもありますが、通常は認印で対応できます。なお、ゴム印(シャチハタネーム等)は使用することができませんので注意が必要です。

また、委任状は、委任関係を証明する大切な書類ですので、氏名・住所は正確に記載するようにしましょう。

氏 [うじ]

名字や姓のことを法律上は「氏」といいます。

結婚により氏を変えている場合、離婚すると結婚直前の氏(いわゆる旧姓)に戻ります。もっとも、婚姻中の氏で仕事をしている場合など、離婚により氏が変わると生活に影響が出る場合があります。このような場合に配慮して、離婚した日から3ヵ月以内に「離婚の際に称していた氏を称する届け出」(婚氏続称)をすれば、婚姻中に名乗っていた氏を離婚後も称することができる、という制度があります。

この制度を利用した場合、民法上の氏は結婚直前の氏に戻っているものの、称する氏は婚姻中の氏となります。たとえば、結婚直前の氏名が「古山 花子」さん、婚姻中の氏名が「新山 花子」さんという人物が離婚をすると、花子さんの氏は「古山」さんに戻ります。しかし花子さんが有効に「離婚の際に称していた氏を称する届け出」をしますと、花子さんは民法上「古山 花子」さんのままですが、「新山 花子」を称することになります。
なお、父母が離婚しても子の氏は変更されず従前のままとなります。

氏の変更の許可 [うじのへんこうのきょか]

(1)婚氏続称の手続(婚姻中の氏を離婚後も称するための届け出 )をしたが結婚直前の氏に変更したい場合や、
(2)結婚直前の氏に戻ったが、婚姻中の氏に変更したい場合などには、家庭裁判所に対し「氏の変更の許可」を申し立てる必要があります。

氏の変更の許可を得るためには氏を変更する「やむを得ない事由」が必要です。
婚氏続称の手続をした者が、結婚直前の氏への変更を求める場合は、「やむを得ない事由あり」と認定されやすい傾向にあります。ただし、安易に氏の変更が許されるわけではありません。

なお、子の氏と親の氏が異なる場合、子がその親の戸籍に入るためには、子の氏の変更許可の申立が必要です。

浮気 [うわき]

「浮気」は、一般的な用語としては、交際関係にある男女間の間で、相手方が無断で他の異性と交際関係を結ぶことといわれます。「二股」という言葉によって表現されることもあります。

夫婦間において、離婚の際に一般に問題とされる「浮気」は、法律的には、「不貞行為」といわれ、主として配偶者のある者が他の異性と肉体関係を結ぶことをいいます。不貞行為があると認められると、裁判上の離婚原因となります。

離婚の際に問題とされる不貞行為が、およそ配偶者以外の異性と肉体関係がある場合に限定されるため、夫婦関係にない交際関係における「浮気」とはイメージが違うかもしれません。お付き合いをしているにもかかわらず、他の異性とデートに出かける行為や食事をする行為、キスをする行為等について、一般的には「浮気をした」といわれることがありますが、法律上の離婚原因となる「不貞行為」とはニュアンスが異なるので注意が必要です。

円満調停 [えんまんちょうてい]

夫婦関係が悪化した場合に、家庭裁判所において円満な夫婦関係を回復するために話し合いをして、夫婦関係を円満に継続する旨の調停をする場合をいいます。この調停事件の名称は、「夫婦関係調整調停(円満)事件」となり、離婚を求めて調停を申し立てる「夫婦関係調整調停(離婚)事件」と同様の事件名ですが、離婚を求める調停も、「円満」を求める調停も、双方を併せて「夫婦関係調整」の事件名を用いるという家庭裁判所の実務によるものです。

この調停手続においては、調停委員が当事者双方から事情を聞き、夫婦関係が円満でなくなった原因はどこにあるのか、その原因を各当事者がどのように努力して正すようにすれば夫婦関係が改善していくか等を一緒に考え、解決案を提示したり、解決のために必要な助言をする形で進められます。

この調停手続は離婚した方がよいかどうか迷っている場合にも、利用することができます。また、円満調停を申し立てて調停離婚が成立する場合もありますし、離婚調停を申し立てて円満調停が成立することもあります。

親子関係不存在確認の訴え [おやこかんけいふそんざいかくにんのうったえ]

婚姻中または離婚後300日以内に生まれた子どもは、婚姻中の夫婦の間の子(嫡出子)と推定され、原則として、母親や他人から「子どもは別の男性の子である」という主張ができなくなります。

ただし、夫が長期の海外出張、受刑、別居等で子どもの母と性的交渉がないなど、妻が夫の子どもを妊娠する可能性がないことが客観的に明白である場合には、夫の子どもであるとの推定は及ばないこととなります。

この場合、家庭裁判所による親子関係不存在確認調停・審判の手続きのほか、裁判所の最終的な判断を求めたいときは、家庭裁判所に対し、親子関係不存在確認の訴えを提起することができます。これらの訴訟手続の中で嫡出推定が及ばない事情があることを明らかにして判決を受ければ、子どもについては前夫の子どもではないという扱いをすることができます。 何らかの事情で真実の母親ではない人の戸籍に入籍しているような母子関係についても、この訴えが可能です。

裁判手続により、嫡出推定が及ばないような事情の存在の認定を含む判決を受けることができれば、その裁判所の謄本および確定証明書を戸籍窓口に提出していただくことにより、子どもは前夫の子どもでないということになります。

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