離婚用語集

な行 | 離婚用語集

な行の用語

内縁関係 [ないえんかんけい]

男女が婚姻届を出さずに、婚姻の意思をもって社会的に夫婦と同様の共同生活をしている関係をいいます。したがって、妻がいる男性が、結婚する気もないのにほかの女性に経済的援助をしながら性的関係を続ける関係や、将来の婚姻を約束している婚約、結婚する気はなく男女が共同生活を送っているような同棲は内縁関係とはいいません。

このように、内縁関係が婚約や同棲と区別されるのには大きな理由があります。内縁関係が認められれば、法律的には夫婦ではないにもかかわらず、通常の夫婦と同じような権利や保護が認められるのです。認められないものには片方が亡くなった場合の相続権等があります。

したがって、婚姻届を出していなくても、内縁関係があれば、別れる際に慰謝料財産分与を請求することもできるのです。

ただし、裁判等において内縁関係が認められるためには、結婚式を挙げたり結婚指輪を贈られたりしたこと、周囲から夫婦として認められていること、家計が一緒であることなどの事実を証明することによって内縁関係にあることを証明する必要があります。

内容証明郵便 [ないようしょうめいゆうびん]

内容証明郵便とは、差し出した郵便物の文書の内容、差出人、受取人に配達された事実・日付(配達証明を付ける必要があります)を、郵便局(日本郵便株式会社)に証明してもらう一般書留です。

内容証明郵便を利用する場合のひとつとして、後日、訴訟等において、意思表示や催告等を行ったことを証明したい場合があります。たとえば、慰謝料を請求する権利について消滅時効が差し迫っているときに、消滅時効の完成を猶予させるために、慰謝料を請求する旨の内容証明郵便を送って、その内容証明郵便を消滅時効の完成が猶予されたことの証拠として使いたい場合等です。

日常家事債務 [にちじょうかじさいむ]

日常家事債務とは、食品や衣類や生活用品等の購入代金、家賃、医療費、教育費、娯楽費等、夫婦が日常の家庭生活を営むうえで通常必要となる費用をいいます。

民法は、日常家事債務を夫婦の連帯債務としています。たとえば、妻がマンションを借りた場合、その賃貸借契約が妻の名義でなされたとしても夫婦の連帯債務となり、夫にも賃料の支払義務があります。よって、婚姻中に夫または妻が負った日常家事債務は、離婚したあとでも、妻または夫にも支払義務があります。

また、離婚の際の財産分与において、夫または妻が、第三者に対して日常家事債務を負っている場合、その日常家事債務が考慮されるケースもあります。

認知 [にんち]

婚姻関係にない男女の間に生まれた子どもを父親が自分の子どもであると認めることです。結婚していない男女の間に産まれた子どもは、認知されない限り父親と法律上の親子関係が認められないのです。

ちなみに、母親と子どもの関係については、分娩という事実によって親子であることが明らかですので、子どもが生まれると同時に法律上の親子関係が生じるとされています。

認知する・しないで大きく変わるのは相続権の問題です。実際の父親が認知することによって、子どもは父親の財産を相続できることになります。しかし、認知してもらわないと、実際には父親であっても、法律上はなんら関係のない人となりますので、相続もできないのです。

認知には、実際に父親であるにもかかわらず認知をしない父親に強制的に親子関係を確定させる強制認知という方法もあります。

認知準正 [にんちじゅんせい]

法律上の婚姻関係にない男女の間で生まれた子ども(非嫡出子)の父母が、婚姻したあとに認知することによって、認知した時点から、その子どもが嫡出子(法律上の婚姻関係の間に生まれた子)たる身分を取得することをいいます。

年金分割制度 [ねんきんぶんかつせいど]

離婚時の年金分割制度には、合意分割制度と3号分割制度の2種類があります。
合意分割制度は、平成19年4月1日から実施されたもので、この日以降に離婚した場合に、夫婦双方の合意によって最大で2分の1まで、厚生年金または共済年金を分割できるというものです。

具体的な分割の割合については、夫婦間の協議で決めることになります。話がまとまれば、合意した内容(年金分割の請求をすることやその按分割合)を記載した書類を、当事者双方またはその代理人が年金事務所の窓口に直接持参するか、最寄りの公証人役場に出向いて公正証書を作成することになります。 一方、話がまとまらず合意ができない場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。調停不成立となれば審判に移行して、裁判官が審判を下します。ただし、分割の対象となるのは婚姻期間に対応する部分だけです。

3号分割制度は、平成20年4月からスタートしたもので、専業主婦(主夫)などの3号被保険者(会社員の被扶養者)については、夫婦の合意は必要なく、申請するだけで夫の厚生年金または共済年金の2分の1を受け取ることができます。 ただし、分割対象は、平成20年4月1日から離婚時までの婚姻期間に対応する部分のみです。

いずれも、対象となるのは厚生年金と共済年金のみで、国民年金は対象外となっています。また、分割受給を受けることができるのは、相手の受給資格に関係なく本人の受給開始年齢後になります。 さらに、分割の請求期限は離婚した日の翌日から起算して2年以内となっており、期限内に年金事務所へ請求することが必要です。以前までの年金の財産分与では、夫の死亡後は妻への支払いが途絶えてしまうという問題がありましたが、年金分割制度の登場によってこの問題が解消されたのです。

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