離婚の際、慰謝料や財産分与などお金についてはお互いに何も請求しないと取り決めましたが、離婚後、元配偶者が婚姻期間中に不倫(浮気)していたと発覚しました。この場合、慰謝料は請求できますか?
離婚の際に調停調書や公正証書などの書面を作成した場合、「本件離婚に関し、お互いに債権債務がないことを確認する」、「名目を問わず何ら財産上の請求をしないことを約束する」といった文言が記されることがほとんどです。
これを「清算条項」といい、清算条項を取り決めた以上は、損害賠償や財産分与の権利・義務などを放棄もしくは免除したと考えられます。したがって、元配偶者に慰謝料を請求することは困難です。
一方で、厳密に取決めをしていない場合、不貞行為を知らなかったのであれば、錯誤(=勘違い)を主張し、取決めを取り消して慰謝料を請求できる可能性があります。ただし、不貞行為を知らなかったことから、不貞行為と離婚との間に因果関係がなかったとして、慰謝料が認められない場合もあります。
注意すべきなのは、あくまで夫婦間の取決めである以上、不貞相手に対する請求権までは放棄していないという点です。
そのため、仮に元夫に慰謝料を請求できない場合でも、不貞が原因で婚姻関係が破綻したといえる場合には、不貞相手に対しては慰謝料を請求できます。請求権が時効で消えてしまわないうちに請求をすることが必要です。