弁護士コラム

【離婚前後のやることリスト】準備から離婚後の手続まで時期別に解説!

【離婚前後のやることリスト】準備から離婚後の手続まで時期別に解説!
  • 公開日:2023年07月31日
  • 更新日:2024年04月12日

離婚は、人生で何度も経験することではありません。
そのため、離婚に向けて「何をすればいいかわからない」、「必要な手続を知りたい」とお考えの方も多いのではないでしょうか?

そこでこのコラムでは、離婚を考えたらするべき準備から離婚後に必要な手続まで、タイミング別に「やることリスト」をご紹介します。
ご自身の状況に合わせて、やるべきことをチェックリストで確認し、失敗のないように離婚を進めていきましょう。

離婚の大まかな流れ

離婚して新たな生活をスタートさせるまでの大まかな流れは、以下のとおりです。

  1. 離婚の話合いに向けた準備をする
  2. 夫婦間で話し合い、離婚の取決めをする(話合いで合意できなければ裁判所の手続を利用する)
  3. 離婚や新生活に必要な手続をする

離婚は、法律で認められた婚姻関係を解消することです。そのため、やるべきことや手続がたくさんあります。
きちんと理解しておかないと思わぬトラブルになることもあるため、離婚前後のやることリストを時期別に確認しておきましょう。

離婚の話合いをする前の準備リスト

離婚を考えたら、話合いをする前に以下の準備をしておきましょう。

準備すること
離婚理由をまとめる
不倫やDVがあった場合は証拠を集める
夫婦の財産をリストアップする
離婚条件を明確にする
離婚後の生活の目途を立てる

きちんと準備せずに「離婚したい」と伝えてしまうと、話合いが長期化したり不利な条件で合意をしたりしてしまうこともあります。そのようなリスクを避け、スムーズに離婚するためにも準備は大切です。

離婚の話合い前の準備については、以下のコラムでさらに詳しく解説していますので、参考にしてみてください。

関連コラム:離婚を考えたら準備する5つのこと。失敗しないためのポイントを解説!

離婚が決まったらやることリスト

夫婦で離婚することに合意ができたらやることは、次のとおりです。

やること 手続などの場所
子どもへの説明 自宅など
離婚協議書の作成 公証役場(公正証書を作成する場合)
離婚届の記入・提出 本籍地または所在地の市区町村役場

以下で詳しく見ていきましょう。

子どもへの説明

離婚は子どもに大きな影響を与えます。そのため、子どもへきちんと説明し、心のケアをすることが大切です。

物心ついた子どもであれば、子どもに責任はないことを伝えたうえで、離婚についてわかりやすく説明しましょう。
伝え方やタイミングは、子どもの年齢や理解度に応じて検討する必要があります。そのため、夫婦間でいつどのように伝えるか、話し合えるとベストです。

離婚協議書の作成

話合いで合意した条件は、離婚協議書に残しておきましょう。離婚協議書を作成しておかないと、離婚後に約束が守られないなどのトラブルが起きるおそれがあります。

離婚協議書を作成しておけば、たとえば養育費慰謝料の支払いが滞った場合などにもスムーズに法的手続をとることができるため安心です。
ただし、離婚協議書に法的な強制力はありません。そのため、できるだけ公正証書にしておくことをおすすめします。

離婚届の記入・提出

離婚届は、市区町村役場の窓口でもらうか、ホームページからダウンロードして記入します。

協議離婚(話合いで合意)の場合、離婚届には夫婦双方の署名に加え、成人の証人2名の署名が必要です(押印は任意)。証人は、夫婦どちらかの両親や友人に依頼することが一般的ですが、成人であれば誰でも構いません。

提出先は、届出人(夫婦)の本籍地または一番近い市区町村役場です。窓口へ持参するほか、郵送や第三者に提出してもらうこともできます。なお、提出の際の必要書類は以下のとおりです。

  • 離婚届
  • 本人確認書類
  • 戸籍謄本(本籍地でない市区町村役場に提出する場合)

詳しくは、提出先の市区町村役場のホームページなどで確認してみてください。

離婚後にやるべき主な手続リスト

離婚届を提出したら、以下の手続を行いましょう。

手続の内容 手続の場所
年金分割の手続 年金事務所
住民票・戸籍・印鑑登録の変更 市区町村役場
国民年金・国民健康保険の変更・加入 市区町村役場
財産の名義変更 法務局、運輸支局、保険会社 など
身分証や公共料金などの住所・氏の変更 警察署、パスポートセンター、各契約会社 など
勤務先への報告 勤務先
子どもの氏の変更許可申立て 家庭裁判所
子どもの入籍手続 市区町村役場
ひとり家庭への公的支援の申請 市区町村の窓口など
子どもの転入学手続 学校・幼稚園・保育園
学校や幼稚園・保育園への報告 学校・幼稚園・保育園

なかには、離婚届の提出と同時にできる手続もあります。それぞれ詳しく見ていきましょう。

年金分割の手続

年金分割の手続は、離婚が成立した日の翌日から2年以内に、年金事務所で行う必要があります。
夫婦間で合意していても、離婚後2年以内に手続しなければ年金は分割されないため、注意しましょう。

年金分割に必要なものは以下のとおりです。

  • 基礎年金番号またはマイナンバーがわかる書類
  • 元夫婦それぞれの戸籍謄本

【裁判所の手続で分割割合を定めた場合】

  • 調停調書または和解調書の謄本・抄本、もしくは審判書または判決の謄本・抄本および確定証明書

【夫婦間で合意して分割割合を決めた場合】

  • 合意内容を記載し、双方が署名した合意書または合意内容を明らかにした公正証書など

年金分割について詳しく見る

各種変更手続

住民票や戸籍の変更をはじめ、各種変更手続を行う必要がありますので、以下で詳しく解説します。

住民票・戸籍・印鑑登録の変更

住民票・戸籍・印鑑登録の変更は、市区町村役場で手続できます。離婚届を提出する際、一緒に手続しておくとスムーズです。

それぞれの手続に必要なものは以下のとおりです。

【住民票の変更】

  • 市区町村内の異動:転居届
  • 違う市区町村への異動:転出届と転入届

【戸籍の変更】

  • 印鑑
  • 本人確認書類

【印鑑登録の変更】

  • 現在の印鑑登録証
  • 新たに登録する印鑑
  • 本人確認書類

なお、離婚後も婚姻中の姓を使用したいときは「婚氏続称の届」を提出する必要があります。
離婚の日から3ヵ月以内に届け出なければならないため(民法第767条2項)、すみやかに届け出ができるよう、あらかじめ離婚後の姓をどうするか決めておいたほうがよいでしょう。

国民年金・国民健康保険の変更・加入

婚姻中に元配偶者の扶養に入っていて、国民年金の第3号被保険者だった場合、国民年金の変更手続が必要です。
また、離婚後も仕事をしない方や、パートなどで勤務先の健康保険に入れない方は、国民健康保険に加入する手続もしておきましょう。いずれも、市区町村役場で手続できます。

それぞれの手続に必要なものは以下のとおりです。

【国民年金の変更・加入】

  • 基礎年金番号またはマイナンバーがわかる書類
  • 扶養から外れた日がわかる書類
  • 本人確認書類

【国民健康保険の変更・加入】

  • マイナンバーがわかる書類
  • 健康保険等資格喪失証明書
  • 引き落とし口座の口座番号・印鑑

財産の名義変更

元配偶者名義の家や土地、車、生命保険などを財産分与で取得した場合には、離婚が成立した日の翌日から2年以内に名義変更の手続をする必要があります。不動産については離婚届を提出したあとでなければ手続できないため注意しましょう。

財産分与で取得した財産は、名義変更しなければ、自分のものになりません。勝手に売却されてしまうなどのトラブルが起きないためにも、早めに手続したほうがよいといえます。

身分証や公共料金などの住所・氏の変更

住所や苗字の変更が必要なものは、速やかに手続しておきましょう。たとえば、以下のものについて変更手続が必要です。

  • 運転免許証
  • パスポート
  • クレジットカード
  • 携帯電話
  • 水道光熱費など公共料金の契約 など

変更しないまま放置しておくと、使用できなくなったり、請求書が届かず支払いが滞ったりするおそれがあるため、忘れずに手続しましょう。

離婚後の氏ついて詳しく見る

勤務先への報告

離婚前から会社に勤めている場合は、社会保険や厚生年金、扶養控除、福利厚生の変更手続などが必要なケースがあります。そのため、勤務先の直属の上司や担当部署(人事・総務など)には報告しておいたほうがよいでしょう。

具体的な手続の方法や必要書類等については、人事・総務などの担当者に問い合わせてみてください。

子どもに関する手続

子どもに関する手続も忘れずに行う必要があります。以下で詳しく見ていきましょう。

氏・戸籍の変更・入籍手続

子どもと親の氏が異なる場合、子どもは親の戸籍に入ることができません。
しかし、離婚により親権者となる親が旧姓に戻っても、子どもの氏は自動的に変更されないため、裁判所に「子の氏の変更許可」を申し立てる必要があります。

申立てに必要なものは以下のとおりです。

  • 子の氏の変更許可申立書
  • 収入印紙(800円)
  • 郵便切手(84円)
  • 子どもの戸籍謄本
  • 子どもが入籍しようとしている戸籍謄本

また、子どもの戸籍も、自動的に親権者である親の戸籍に変更されないため、入籍手続が必要です。氏の変更後、市区町村役場に入籍届を提出することで戸籍変更ができます。

ひとり親家庭に関する制度の申請

離婚してひとり親家庭になる場合、以下のような公的支援を受けられます。

  • 児童手当
  • 児童扶養手当
  • ひとり親家庭の医療費補助
  • 就学支援 など

このほかにも、生活をサポートしてくれるさまざまな制度があります。詳しくは公的支援などを紹介しているページをご覧ください。

転入学の手続

離婚後に引っ越す場合には、学校や幼稚園・保育園に報告し、速やかに転園・転校の手続をしましょう。

子どもを保育園に預ける場合、定員に空きがないとスムーズに入園できないこともあるため、早めに確認しておくことをおすすめします。

学校や幼稚園・保育園への報告

転園・転校しない場合や氏の変更がない場合も、学校や幼稚園・保育園に離婚して家庭環境が変わったことを報告しておいたほうがよいでしょう。

離婚は、子どもの精神面に大きな影響を与えます。離婚後の子どもの様子を注意して見てもらい、必要なサポートをしてもらうためにも、報告・相談しておいたほうが安心です。

離婚はやること山積み…少しでも負担を減らすには?

離婚の際はただでさえやることが多いのに、配偶者と話し合って条件を決め、場合によっては調停など裁判手続の対応もしなければなりません。

なかには複雑な手続もあるため、「一人でできるか不安」、「少しでも負担を減らしたい」とお考えであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。

弁護士であれば、あなたの状況に合わせてやるべきことを整理し、的確なアドバイスができます。
また、あなたの代わりに離婚条件の交渉や取決め、適切な内容で離婚協議書などの書面作成ができるため、時間的・精神的な負担が軽減されるでしょう。

安心して離婚の手続を進めていくためにも、弁護士への相談をぜひ検討してみてください。

まとめ

離婚の際は、やるべきことが多岐にわたります。しかし、どれも離婚後の新生活を安心してスタートさせるために必要なことです。

本コラムを参考に、時期やタイミングに応じてやるべきことを整理し、漏れなく手続できるように準備しておきましょう。

少しでも負担を減らしたいとお考えであれば、離婚条件の交渉や取決め、離婚協議書などの書面作成などを一貫して弁護士に依頼し、サポートしてもらうことをおすすめします。時間的・精神的負担が軽減されるだけでなく、万が一調停などの対応が必要になった場合も安心して手続を進めることができるでしょう。

アディーレには、離婚問題の経験豊富な弁護士が在籍しております。離婚の話合いや書面作成まで一貫してサポートいたしますので、離婚したいとお考えの方はぜひ一度ご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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