離婚時の慰謝料に税金はかかりますか?
慰謝料は精神的損害に対する賠償であって贈与ではないため、金銭によって賠償される場合には、それが相当な金額である限り原則として税金は課されません。
所得税法でも非課税所得とされています(所得税法第9条1項18号、所得税法施行令第30条1号)。
ただし、慰謝料が不動産など価値の増減する資産によって支払われる場合には、支払う側に譲渡所得税(譲渡所得)が、受け取る側に不動産取得税が課せられることがあります。
不動産の登記申請をするための登録免許税もかかるため注意が必要です。
また、社会通念上、慰謝料が高額すぎる場合や、口約束による支払いなどで不法行為に対する慰謝料だと証明できない場合、偽装離婚と判断された場合は、実質的な贈与だとして贈与税が課せられる可能性があります。
たとえば、不貞行為による慰謝料の裁判上の相場は、離婚する場合で約100万~300万円です。そのため、300万円程度の慰謝料であれば、社会通念上「妥当」と判断され、税金が課されない場合が多いでしょう。
婚姻期間が長いケースや悪質なケースなどでは、300万円を超える場合もありますが、特別な事情がない限り1,000万円を超えることは稀です。
そのため、1,000万円以上などの慰謝料は社会通念上「高額すぎる」として贈与税が課せられる可能性があります。
なお、贈与税が課せられる場合には、所得税が重複して課せられることはありません。