特集:気になる!隣の離婚事情

第1回「誰もが気になる離婚原因。妻の1位はやっぱり…アレ!」

どんなに仲睦まじい夫婦でも、一度や二度は「離婚」という言葉が頭に浮かんだことがあるはず。実際に離婚するに至った夫婦も、その原因はさまざまです。

たった一度の過ちがきっかけになることもあれば、日々の小さな不満が積もり積もった結果、離婚に至ることも。まだ愛情が残っている場合でも、家族や仕事の都合で別れざるを得なくなったケースもあり、10組の夫婦がいれば10組それぞれに離婚の理由があります。

「気になる!隣の離婚事情」第1回では、そんな「離婚原因」に焦点を当て、その実態を覗いていきます。

離婚原因の第1位は男女ともに「性格の不一致」

男女別の離婚原因
男性 女性
1位 性格が合わない 性格が合わない
2位 精神的に虐待する 生活費を渡さない
3位 異性関係 精神的に虐待する
4位 家族・親族と折り合いが悪い 暴力を振るう
5位 浪費する 異性関係
6位 性的不調和 浪費する
7位 同居に応じない 性的不調和
8位 暴力を振るう 家庭を捨てて省みない
9位 生活費を渡さない 酒を飲み過ぎる
10位 家庭を捨てて省みない 家族・親族と折り合いが悪い

※『令和3年 司法統計年報(家事編) 第19表 婚姻関係事件数―申立ての動機別申立人別』より

2021年の司法統計によると、離婚の申立理由は男女ともに「性格が合わない」が第1位。離婚した男性の3割、女性の2割が「性格の不一致」を理由に離婚しています

そもそも、生まれも育ちも違うわけですから、お互いの性格が違うのは当然です。しかし、自分とは違う部分も含め、相手に惹かれて結婚したのも事実のはず。では、なぜこんなにも「性格の不一致」を理由に離婚する夫婦が多いのでしょうか?

実は、ほかの異性と関係を持ったり、お金を浪費したり、相手に暴力を振るったりしたことが原因で離婚するケースでも、社会的な体裁を気にして「性格の不一致」を理由にすることが多いのです。また、決定的な理由がない場合も「性格の不一致」が理由とされます。

このように、離婚する夫婦にとって「性格の不一致」はとても便利な言葉なのです。そのため、「性格の不一致」だけが原因で離婚に至るケースは、見た目の数字よりも少ないと思われます。

単に「性格が合わない」だけでは離婚できない場合も!?

離婚する夫婦の多くが理由とする「性格の不一致」。夫婦の双方が合意の上で離婚するのであれば問題ありませんが、一方が離婚に同意せず、裁判で争うことになった場合には注意が必要です。

実は、離婚裁判では、単に「性格が合わない」というだけでは離婚が認められません。「性格の不一致」を離婚理由として認めてもらうためには、それが原因で夫婦関係が破綻し、将来にわたり修復の可能性が認められないことを証明する必要があります。

「性格の不一致」はとても便利な言葉である反面、法的には認められにくいことをよく覚えておいてください。

「精神的虐待」を原因とする離婚が増加傾向に。男女別の離婚原因の推移

男性
離婚申し立ての動機(男性)
女性
離婚申し立ての動機(女性)

※上記グラフは、『司法統計年報(家事編) 申立ての動機別申立人別』に関する1975年~2021年データ(その他・不詳は除く)に基づき、当事務所が独自に作成したものです。

今も昔も「性格の不一致」が最大の離婚原因であることは変わりません。
一方、男女ともに「異性関係」や「家族との関係」を原因とする離婚の割合は減少し、「精神的虐待」を原因とする離婚の割合が増加しています

DV(ドメスティック・バイオレンス)にもさまざまな種類がありますが、より間接的なものになりつつあるのが最近の傾向だといえるでしょう。また、「モラルハラスメント」が広く知られるようになったことも、関係しているかもしれません

そのほか、割合としては決して多くはありませんが、「性的不満」を原因とする離婚が増加している点も見逃せません。セックスレスが離婚の原因となることは広く知られつつありますが、それ以外にも「性的嗜好の不一致」が原因で離婚が認められることもあります。

過去の判例では「性行為の際に必ず靴を履くことを強要された」という理由で離婚が認められたケースもあるので、注意が必要です。
日常生活と同じく、性生活においても「相手を思いやること」が夫婦円満の秘訣だといえます。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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