交際相手が既婚者と発覚!慰謝料請求の流れとポイントは?
将来を見据えて交際していた相手が既婚者だと発覚したという方のなかには、「自分をだまし、大切な時間を奪った彼に慰謝料請求したい」とお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
このコラムでは、慰謝料請求をするために必要な準備や、実際の慰謝料請求の流れを解説いたします。このコラムを読めば、あなたを傷つけた彼にどのように慰謝料請求すればよいかわかりますので、ぜひ最後までご覧ください。
目次
この記事を読んでわかること
既婚者だった交際相手に慰謝料請求できるって本当?
あなたが交際していた相手が既婚者だった場合、慰謝料請求できるケースとできないケースがあります。そこでまず、慰謝料請求はどんな場合にできて、どんな場合にはできないのかを見ていきましょう。
貞操権侵害に基づいて慰謝料請求できるケース
以下のケースに当てはまる場合には、貞操権侵害に基づいて慰謝料を請求できます。
あなたは、将来を見据えて交際していた男性が既婚者だとわかっていたら、きっと交際していなかったですよね。既婚者であることを隠して、あなたと肉体関係を持っていた彼に納得がいかないのも当然です。
貞操権侵害においては、まさしくそのような将来への期待や持つはずのなかった肉体関係について、慰謝料を請求します。
詳しくは、以下のコラムでも解説しています。
慰謝料請求できないケースもあるため注意が必要
貞操権侵害で慰謝料請求するには、既婚者であることを隠されたという事実や、結婚への期待を持たされたうえで肉体関係があった事実が必要です。
そのため、以下のようなケースでは、慰謝料請求は難しいといえるでしょう。
- 最初から既婚者だと知りながら交際していた場合
- 肉体関係がなかった場合
- 相手が既婚者であると判断できる状況だった場合
慰謝料請求できるとわかったら、まずは準備を!
貞操権侵害に基づいて慰謝料請求できる場合、まずは慰謝料請求するための準備をしましょう。
具体的にどんな準備をすればよいか、解説していきます。
交際相手と別れる
相手が既婚者だとわかったのであれば、すぐに関係を持つことはやめましょう。
もし既婚者であるとわかったあとに肉体関係を持った場合、その行為は「不倫」になってしまうからです。
不倫をすれば、相手の奥さんから、逆に浮気の慰謝料を請求されるおそれもあります。
相手が既婚者であると知らなかったのであれば、防ぎようのないことですので、慰謝料を支払わずに済むこともあります。しかし、既婚者であると知ったあと肉体関係を持ったのに、「知らなかった」と言い訳することはできません。
そのため、既婚者とわかった時点で速やかに交際をやめる必要があるのです。
相手の連絡先を調べる
交際をやめていざ請求となっても、相手の連絡先を知らなければ何もできません。そのため、連絡先を確保することは非常に重要なのです。ここでいう連絡先とは、電話番号や住所のことです。
近年のSNSや婚活系アプリの登場で、「連絡はSNSで行っているため電話番号や住所は知らない」という人が多くなっています。しかし、SNSはすぐにブロックできるので連絡手段を失うことになり、慰謝料の請求は非常に困難になってしまいます。
あなたが「相手が既婚者である」と知ったことを、相手が気付いていないのであれば、直接相手に聞いてみるとよいでしょう。
証拠を確保する
貞操権侵害は立派な法律問題ですから、慰謝料を請求するためには証拠が必要になります。
貞操権侵害の慰謝料請求は、既婚者であることを隠されたことや、結婚への期待を持たされたことがわかる証拠が必要です。
相手が結婚してないことや、あなたと結婚することを約束しているLINEやメールなどのやり取りがあれば、スクリーンショットを撮るなどして証拠を集めておきましょう。
慰謝料請求の流れと覚えておきたいポイント
準備が整ったら、実際に慰謝料を請求します。慰謝料請求は、大まかに下記のような流れで進んでいきます。
- 相手に連絡し慰謝料請求したい旨を伝える
- 交渉する
- 合意書を作成する
- 慰謝料の支払いを受ける
ここからは、それぞれの場面で覚えておきたいポイントや注意点を見ていきましょう。
相手に連絡し慰謝料請求したい旨を伝える
慰謝料請求するにしても相手に伝えないと始まりません。また、貞操権侵害における慰謝料請求権は通常、相手方の男性が既婚者と知ってから3年で時効、すなわち3年で請求できなくなります。そのため、慰謝料請求する旨を相手に伝えることは重要な意味を持つのです。
のちの交渉や進め方を見据えて、タイミングや内容、脅迫(家族・職場にばらすと脅すなど)にならないことを意識して伝えましょう。
相手方への伝え方は、メールや書面、電話などが考えられます。
メール・書面と電話、どちらで伝えるほうがよい?
貞操権侵害の慰謝料請求においては、基本的には電話で伝えるほうがよいでしょう。
証拠として「文字に残すことができる」という点ではメールや書面などで伝えるほうがよいとも考えられますが、相手の配偶者に交際していた事実を知られてしまうと、あなたが不貞慰謝料を請求されるリスクが発生します。このようなリスクを避け、できるだけ内密に交渉を進めるためにも、電話で伝えることをおすすめします。
ただし、電話の場合、いかにうまく交渉できるかによって請求できる慰謝料の金額や結果が変わってしまいます。そのため、自分で対応せず、弁護士に依頼し交渉してもらうのがよいでしょう。
状況に応じて内容証明郵便を送付
状況によっては、「相手の配偶者に交際していた事実を知られてしまう」というリスクを加味しても書面を送付したほうがよい場合もあります。
たとえば、時効が完成しそうなときです。そのような場合には、内容証明郵便に配達証明をつけて慰謝料を請求します。
内容証明郵便は誰が誰にどのような内容の文書を送ったかを、配達証明は相手に配達したという事実を郵便局が証明してくれるもので、証拠としても有効です。
内容証明郵便を送ることで6ヵ月間時効が猶予されるため、その間に解決をはかることができます。
交渉する
相手に慰謝料請求することを伝え、相手が慰謝料請求に応じたら、慰謝料の金額および支払いについての交渉をします。
貞操権の慰謝料額の相場は数十万円~300万円程度と差があり、だまされていた期間や肉体関係を持った回数などにより金額が変動するため、まずは相手がどれだけ支払えるのかを確認しましょう。
また、支払方法も一括なのか分割なのか交渉することが必要です。
慰謝料の支払いは相手の資力に左右されるため、一括払いにこだわり続けてしまうと交渉が長期化するケースもあります。そのようなケースでは、分割払いで確実に支払わせていくほうがよいでしょう。
慰謝料をきちんと支払ってもらうためには、適切に判断しながら交渉する必要があります。
合意書を作成する
慰謝料の支払いについて無事に合意できたら、その内容を合意書にまとめましょう。もし、相手が慰謝料を支払わなくなった場合に備える必要があるからです。
合意書には、以下の内容を必ず記載しましょう。
- 貞操権侵害についての慰謝料であること
- 慰謝料の総額
- 支払方法
- 月々の支払額(分割払いの場合)
- 支払日
- 支払先の口座
- お互いの住所・名前
また、慰謝料を請求したことを周囲に知られたくない場合は、お互いに誰にも口外しないことを約束し、その旨を合意書に記載しておきましょう。
訴訟に発展してしまう場合も…
交渉でまとまらなかった場合や、合意書を作成したにもかかわらず相手が慰謝料を支払ってくれない場合には、裁判によって解決しなければなりません。
裁判で勝訴判決を得ることができれば、「強制執行」という強力な手段で相手の財産や給料を差し押さえることができます。しかし、勝訴判決を得るためには、法的な主張や証拠によって、貞操権侵害について立証する必要があります。
裁判は基本的に書面で進行しますが、複雑な内容が多く、裁判手続に関する知識も求められるので、自分自身で対応するのは非常に難しいです。そのため、もし裁判に発展してしまった場合には、弁護士に相談することをおすすめします。
慰謝料請求するなら弁護士への相談がおすすめ!その理由は?
これのように、慰謝料請求をするためには相手との交渉をはじめ、必要に応じて書類の作成や訴訟の手続をしなければなりません。ですが、自分一人で対応するのは不安が多いことと思います。
そこで、慰謝料請求をお考えであれば、弁護士に相談するのがおすすめです。
ここからは、弁護士に相談することで、あなたにどのようなメリットがあるのか詳しく解説いたします。
貞操権侵害に基づいて慰謝料請求できるか判断してもらえる
「既婚者だった交際相手に慰謝料請求できるって本当?」で解説したように、すべてのケースで貞操権侵害に基づいて慰謝料請求できるわけではありません。
相手が既婚者だと知り得た可能性があるケースなどでは、実際に慰謝料が請求できるのか判断するのは難しいこともあります。
弁護士に相談すれば、自分は慰謝料請求できるのかどうか適切に判断し、今後どのように行動したらよいかアドバイスしてもらえます。
相手が慰謝料の請求を無視できなくなる
もしあなたが、弁護士から突然「慰謝料を支払ってください」と言われたら、「きちんと対応しなければ」と思いますよね。それは貞操権侵害の慰謝料を請求する相手も同じです。
自分自身で請求しても無視されるような場合、弁護士から連絡してもらうことによって、相手は慰謝料請求を無視できなくなります。
手続や交渉を任せることができ、訴訟に発展した場合も対応できる
交内容証明郵便の送付や交渉、合意書の作成など、複雑な手続をすべて任せることができるという点は、大きなメリットといえるでしょう。
万が一訴訟に発展した場合でも、弁護士であれば適切に法的な主張や立証ができるため、自分で難しい対応をする必要がなくなります。当然、経過の報告もきちんとしてもらえるので安心です。
精神的負担が軽減される
将来を見据えた相手が「実は既婚者だった」と知ったときの精神的苦痛は、計り知れないものです。そして、その相手に対して交渉を行うのは大変つらいものになります。
弁護士であれば、あなたの代わりに交渉や手続をすることに加え、あなたのお気持ちを代弁し、相手に主張することができます。そのため、交渉や手続を行うストレスが軽減されるだけでなく、あなたのお気持ちも少し楽になるのではないでしょうか。
まとめ
本コラムでは、貞操権の慰謝料請求の流れについて説明してきました。貞操権侵害における慰謝料は、相手方の男性が「本当は既婚者であることを隠した、または結婚する気がないのに結婚の約束をした場合」かつ「肉体関係を持った場合」に請求することができます。しかし、あなたが「相手は既婚者である」と知っていた場合や、知ることができる場合には請求できません。
請求できる場合、相手方との交渉や合意書の締結を進めることになりますが、専門的な知識を必要とし、一般の方には難しい判断が求められます。
そのため、「自分の場合は慰謝料を請求できるのかな?」、「自分一人で請求できるかな?」とお悩みの方は、弁護士に相談することをおすすめします。
アディーレなら、慰謝料請求に関する相談は何度でも無料です。まずはお気軽に、あなたのお話をお聞かせください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。