貞操権侵害の証拠になるものは?既婚者だと知らなかった証拠の例と集め方
貞操権侵害を理由に慰謝料請求をお考えの方のなかには、「証拠は必要なの?」、「どんなものが証拠になるの?」と疑問に感じている方もいらっしゃると思います。
なかには、「証拠がないから慰謝料請求できないのかな…」とお悩みの方もいらっしゃるかもしれません。
そこでこのコラムでは、貞操権侵害の慰謝料請求に必要な証拠の例と証拠の集め方に加え、証拠がないときの対処法をご紹介します。
貞操権侵害における証拠の必要性とその理由も解説していますので、慰謝料請求へ向けて理解を深め、準備していきましょう。
目次
この記事を読んでわかること
貞操権侵害の慰謝料請求に証拠は必要?
慰謝料を請求する際、証拠は「絶対に必要」というわけではありません。
相手方が素直に非を認め、慰謝料を支払ってくれるのであれば、貞操権侵害にあたることを立証する必要がないためです。
しかし、相手方が慰謝料の支払いに応じるとは限りません。
「独身だとウソをついたことはない」、「結婚しようなんて言っていない」、「肉体関係はなかった」などと主張してくるおそれがあります。
交渉で話がまとまらなければ、裁判になる可能性もあるでしょう。
そんなとき、あなたは証拠によって「相手に独身だとウソをつかれて交際していた」と立証する必要があります。証拠は、「貞操権侵害である」として慰謝料請求を認めてもらうために重要な役割を持つのです。
不倫の慰謝料請求を防ぐためにも重要
証拠は、あなたが相手の奥さんから不倫の慰謝料を請求されたときにも役立ちます。
証拠により「貞操権侵害である」と認められ支払義務がないと判断されれば、請求された慰謝料を支払わなくてよい場合もあるためです。
詳しくは、以下のコラムをご覧ください。
貞操権侵害の証拠となるものの例
「貞操権侵害」と認められるための証拠は、大きく分けて3種類あります。それぞれ、具体的な証拠の例とともに見ていきましょう。
なお、以下で紹介するのは証拠の一例です。内容によってはほかにも証拠となり得るものがあるかもしれませんので、お手元に写真や書類などがあれば破棄しないようにご注意ください。
相手に独身だとウソをつかれた証拠
貞操権侵害は、「相手が既婚者だと知らずに交際した」場合に成立します。
ですが、相手方が「独身だと言ったことはない」などと反論してくるケースも考えられるため、以下のような「独身だとウソをつかれた証拠」を確保しておきましょう。
- 独身・未婚と告げられているLINEやメールのやり取り・音声
- 独身者限定のマッチングアプリや婚活サイトのプロフィール
- 婚活パーティや結婚相談所で知り合ったことがわかる資料 など
相手に結婚をほのめかされた証拠
貞操権侵害が認められるには、「結婚に対する期待があった」ことが1つのポイントとなります。
相手方から「結婚の話はしていない」と反論されてしまうと貞操権侵害が認められないおそれがあるため、以下のような「結婚をほのめかされた証拠」を確保しておきましょう。
- 結婚式場の予約票・メール
- 結婚のあいさつをしたという親の証言
- 結婚指輪を購入したレシート
- 住民票(あなたが彼氏と一緒に住んでいる場合) など
相手と肉体関係を持った証拠
相手方が独身だとウソをつき交際していたことを認めたとしても、「肉体関係を持っていない」と反論されるケースも考えられます。肉体関係がないと貞操権侵害として認められないため、以下のような「肉体関係を持った証拠」を確保しておきましょう。
- 相手と肉体関係をもったことがわかるLINEやメールのやり取り、音声
- 旅行したことがわかる予約票やレシート、クレジットカードの明細書、写真
- 妊娠中絶の同意書 など
貞操権侵害の証拠の集め方
マッチングアプリの紹介文やメール・DMなどは、スクリーンショットをしておきましょう。旅行の予約票やレシート、クレジットカード決済の明細書、結婚式場の下見に行った際のパンフレットなどは、捨てずに保管しておいてください。
また、ボイスレコーダーなどで彼氏の「独身だ」、「結婚はしていない」という発言を録音しておくのもよいでしょう。
ただし、相手方に気づかれてしまうと、証拠を隠されたり捨てられたりしてしまうおそれがあるため注意してください。
「証拠がない…」と諦める前に!弁護士からのアドバイス
なかには、「具体的な証拠がないから慰謝料請求できない…」という方もいらっしゃると思います。
ですが、ただちに諦める必要はありません。
たとえば、「彼氏は結婚していないと言っていたけど、具体的なメールの文面が残っていない」というケースでは、改めてメールで「前に『結婚していない』と話していたけど本当だよね?」などと聞いてみましょう。
彼氏から「結婚していないのは本当だよ」などの返信があれば、証拠となり得る場合があります。
また、彼氏と交際をやめるとき、メールで「今まであなたが既婚者だと知らなかったけど、既婚者だとわかったので別れます」と伝え、既婚者だったと知らなかった事実を残しておくと、証拠として使えるかもしれません。
「証拠になるかわからない」とお悩みなら弁護士へご相談を
「これは証拠にならないだろう」と自分で判断してしまうと、証拠となり得たはずのものを処分・破棄してしまうかもしれません。
「これは証拠になるのかな?」と疑問に思ったら、ご自身で判断する前にまずは弁護士へ相談し、貞操権侵害の証拠となり得るかどうか、ご確認いただくことをおすすめします。
まとめ
証拠は、彼氏の行為が貞操権侵害にあたることを立証し、きちんと慰謝料を支払ってもらうために重要な役割を持ちます。
そのため、できる限り証拠を確保しておきましょう。
ご自身の持っている資料が「証拠として有効かわからない」という場合には、弁護士に相談してみることをおすすめします。ご自身で判断し、証拠となり得たはずのものを処分・破棄してしまわないよう注意しましょう。
アディーレでは、貞操権侵害の慰謝料請求に関するご相談を無料で承っております。「具体的な証拠がない」とお悩みの方も、諦めずにまずはご相談ください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。