弁護士コラム

家庭内別居とは?離婚はできる?子どもへの影響やメリット・デメリット

家庭内別居とは?離婚はできる?子どもへの影響やメリット・デメリット
  • 公開日:2025年3月11日
  • 更新日:2025年03月11日

夫婦関係が悪くなったとき、すぐに別居や離婚をせず、一時的に「家庭内別居」を選ぶ夫婦は少なくありません。

しかし、家庭内別居のメリット・デメリットを正しく理解しておかないと、状況が悪化してしまうおそれもあるため、注意が必要です。

このコラムでは、家庭内別居の実態や、メリット・デメリット、家庭内別居をする際のポイントを解説します。
また、その後どのような選択肢があるのかもご紹介していますので、今後の夫婦関係をどうしていきたいか考える際の参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること

  1. 家庭内別居に該当するケース
  2. 家庭内別居のメリット・デメリット
  3. 家庭内別居のポイントとその後の選択肢

家庭内別居とは?

家庭内別居とは、同じ家に住んでいるものの夫婦仲が悪く、会話や顔を合わせることをせず別々に生活している状態をいいます。
「夫(妻)とは話したくないけど離婚に踏み切れない」、「子どもやお金の面ですぐに別居や離婚ができない」という理由から、家庭内別居を選ぶ夫婦もいるようです。

家庭内別居に該当するケース

家庭内別居に明確な定義はありません。しかし、以下のようなケースは家庭内別居にあたるといえる可能性があるでしょう。

  • 別々の部屋で生活している
  • 一緒に食事をしない
  • 会話がない(必要最低限の会話しかしない)
  • お互いのために家事をしない
  • お金の管理を完全に分けている など

このように夫婦の実態がない状態であれば、家庭内別居にあたるといえます。

家庭内別居と仮面夫婦の違い

夫婦仲が悪い状態を表す言葉には、家庭内別居のほかにも「仮面夫婦」があります。

家庭内別居と同様に、仮面夫婦にも明確な定義はありません。しかし、一般的に仮面夫婦は、対外的には仲がよく見えるものの、実際には夫婦仲が悪い状態を指すことが多いといえます。

家庭内別居と仮面夫婦は、同じ家に住んでいるが夫婦の実態がないという点では同じです。
一方で仮面夫婦は、はたから見て仲のいい夫婦に見せる目的があるため、完全に生活を分けることはせず、夫婦での行動や会話をすることもあります。

家庭内別居をするメリット

別居や離婚ではなく、家庭内別居を選択する主なメリットは、以下のとおりです。

  • 経済的負担が少ない
  • 他人の目を気にする必要がない
  • 面倒な手続をせずに済む

それぞれ詳しく解説します。

経済的な負担が少ない

離婚や別居をすると、引っ越し費用や新しい住居の初期費用のほか、調停・裁判などをすれば手続にも費用がかかります。
一方で家庭内別居であれば、まとまったお金は必要ありません。

経済的な負担を抑えて夫婦の生活を分けられるのは、家庭内別居の大きなメリットといえるでしょう。

他人の目を気にする必要がない

離婚や別居をすると、氏や住所が変わることもあるため、職場や子どもの通う学校などに知られてしまう可能性があります。
しかし家庭内別居であれば、自分から話さない限り、夫婦仲が悪く別々の生活を送っていると知られることはないでしょう。

周囲から余計な詮索をされたくない、周囲に心配をかけたくないという方にとっては、他人の目を気にする必要がないことが家庭内別居の大きなメリットになり得ます。

面倒な手続をせずに済む

離婚をする際には、離婚自体の手続だけでなく、氏の変更や引っ越し、それに伴う子どもの転校など、さまざまな手続をしなければなりません。
離婚をせず別居する際にも、ご自身が家を出ていくのであれば引っ越しや住所変更などが必要です。

一方で家庭内別居であれば、そのような面倒な手続は必要ありません。
生活環境も大きく変わらないため、ご自身の生活や子どもへの影響も最小限にできるでしょう。

家庭内別居をするデメリット

一方で、家庭内別居には以下のようなデメリットもあるといえます。

  • ストレスが溜まりやすい
  • 夫婦関係の修復が難しくなる
  • 子どもに悪影響を及ぼすおそれがある

それぞれ詳しく見ていきましょう。

ストレスが溜まりやすい

家庭内別居の場合、完全に生活空間を分けられるとは限りません。タイミングによっては顔を合わせてしまうこともあるでしょう。

そのため、「相手の顔を見るのも嫌だ」というような状態であれば、些細なことがストレスになってしまう可能性があります。
夫婦関係がより悪化してしまうおそれもあるため、注意が必要です。

夫婦関係の修復が難しくなる

家庭内別居で距離を置くことで、お互いに冷静になり、夫婦によっては関係修復のきっかけになるかもしれません。
しかし一方で、お互い干渉し合わない生活に慣れてしまい、夫婦関係の修復が難しくなるおそれもあるため注意が必要です。

子どもに悪影響を及ぼすおそれがある

家庭内別居をすると、子どもが暮らす環境への影響は少ないものの、両親の険悪な雰囲気が子どもにとって大きなストレスとなるおそれがあります。

子どもがまったく会話をしない両親に気を遣ったり、両親の顔色を伺いながら生活したりすることで、心身ともに不安定になってしまいかねません。

離婚や別居をせずに家庭内別居をすることが、必ずしも子どものためになるとは限らないため注意が必要です。

家庭内別居の行く末は?考えられる選択肢

家庭内別居をしたあとは、以下のいずれかの選択肢をとることが考えられるでしょう。

関係修復を目指す

家庭内別居で夫婦の距離を置くことで、お互いに対する不満が解消される可能性もあります。
家事や育児について、改めて考え直すきっかけになるかもしれません。

冷静になったタイミングで話合いをし、関係修復を目指すのも一つの選択肢でしょう。

完全別居する

家庭内別居ではストレスが溜まるという場合には、完全に住まいを分けて別居することも考えられます。

ただし、完全別居する際には、配偶者からDV・モラハラを受けているなどの事情がある場合を除き、必ず配偶者の同意を得るようにしましょう。
正当な理由がないのに配偶者の同意を得ないまま別居してしまうと、基本的には夫婦の同居義務(民法第752条)に違反することとなってしまいます。

同居義務に違反したこと自体に罰則はありませんが、法定離婚事由である「悪意の遺棄」に該当すると判断された場合には、慰謝料を請求されるおそれもあるため注意が必要です。

離婚する

夫婦関係の修復が難しい場合には、離婚を検討することになるでしょう。
離婚する場合、まずは夫婦で話し合い、話合いがまとまらなければ離婚調停や離婚裁判などで離婚の成立を目指します。

なお、離婚裁判で離婚が認められるには、原則として以下のいずれかの「法定離婚事由」が必要です。

  • 浮気・不倫(不貞行為)
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

「家庭内別居」は、法定離婚事由にはあたりません。つまり、家庭内別居をしていたというだけでは、裁判で離婚が認められないおそれがあるということです。

ただし、ほかの法定離婚事由を主張することや、夫婦関係が破綻していることを客観的に証明することで、離婚が認められる可能性はあります。
また、離婚前に完全別居の期間を設けることも手段の一つです。

家庭内別居のやり方に関する3つのポイント

家庭内別居をする際には、今後夫婦関係を修復するか、別居や離婚をするかにかかわらず、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

①家庭内別居のゴールを明確にする

家庭内別居をする理由や目的、期限が曖昧だと、状況が前に進まないまま、ずるずると家庭内別居を続けることになりかねません。
そのため、あらかじめ家庭内別居したあと夫婦関係をどうしたいのか、ゴールを明確にしておきましょう。

家庭内別居を始めるタイミングで、夫婦関係を修復するか、別居・離婚をするか決めることは難しいかもしれません。しかし「今どう考えているのか」を明確にしておくことで、今後の過ごし方が変わるはずです。

可能であれば、夫婦でお互いの考えを伝え合えると理想的だといえます。

②家庭内別居中のルールを決めておく

家庭内別居をする際は、お互い干渉せずに適切な距離感を保つことが大切です。
ある程度生活に関するルールを決めておくことで、ストレスを軽減し快適に暮らせるでしょう。

決めておくべきルールには、たとえば以下のような内容が挙げられます。

  • お風呂や食事の時間
  • 共有部の掃除分担
  • 顔を合わせたときの対応
  • 休日の過ごし方
  • 子どもとの接し方
  • 日常の連絡手段 など

特に、子どもとの接し方については、夫婦できちんと話し合っておくべきです。

③家庭内別居中の生活費(婚姻費用)について話し合う

法律上、夫婦にはそれぞれの負担能力に応じて、婚姻中の生活費(婚姻費用)を分担する義務があります。この義務は、法律上の夫婦関係である限り、同居・別居にかかわらず果たさなければなりません。

そのため、あなたの収入が配偶者よりも少なければ、家庭内別居中の生活費を負担してもらうよう請求できる可能性があります。

もちろん、お互いの同意があれば、家庭内別居中の生活費を夫婦それぞれが負担することも可能です。しかし、ご自身に収入がない場合などには、きちんと話し合っておいたほうがよいでしょう。

なお、婚姻費用の金額は、夫婦で合意できれば自由に決められますが、裁判所が公表している婚姻費用算定表をもとに算出するのが一般的です。
ただし、婚姻費用算定表の金額は完全別居を前提としています。そのため、同居とみなされる家庭内別居の際に請求できる金額は、算定表よりも下がると考えられます。

家庭内別居に関する相談先

家庭内別居をはじめ、別居や離婚に関する悩みは、一人で抱え込まず誰かに相談することも大切です。
具体的なアドバイスが欲しい場合や、実際に問題を解決したい場合には、状況やお悩みに応じ以下のような専門機関に相談することも考えられます。

離婚カウンセラー・夫婦カウンセラー

「家庭内別居中の悩みを聞いてほしい」、「夫婦関係を修復したい」という場合には、離婚カウンセラー・夫婦カウンセラーなどに相談するとよいでしょう。

家族や友人には話しにくいような幅広い夫婦関係の悩みについて、客観的な意見やアドバイスをしてもらえます。
なかには、必要に応じて各種専門機関の情報を教えてくれたり、紹介してくれたりするケースもあるようです。

詳しくは、以下のコラムでも解説していますので参考にしてみてください。

弁護士

家庭内別居を経て「完全に別居したい」、「離婚したい」とお考えの場合には、弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士であれば、別居する際の婚姻費用の請求や、離婚の交渉・取決め・書面作成などの手続をあなたの代わりに一貫して行うことが可能です。
法的知識をもとに交渉できるため、あなたに有利な条件での取決めができる可能性も高まるでしょう。

また、状況によっては裁判所を通した手続が必要です。なかには複雑な手続もあり、時間的・精神的に大きな負担がかかります。
弁護士に相談することで、負担が軽減され、安心して別居や離婚を進めることができるでしょう。

まとめ

家庭内別居には、経済的負担が少ないなどのメリットがある反面、子どもに悪影響を及ぼすなどのデメリットもあります。
そのため、家庭内別居をするかどうかは、ご自身の状況を踏まえて慎重に判断すべきでしょう。

家庭内別居をする際は、今後夫婦関係をどうしていくかにかかわらず、期限や目的、生活のルール、生活費の負担などについて、あらかじめきちんと決めておくことが大切です。
そうすることで、お互いのストレスを最小限に留め、円滑な家庭内別居を実現できる可能性が高まります。

家庭内別居を経て、完全別居や離婚をする際には、弁護士に相談するのがおすすめです。
「完全別居に向けて婚姻費用を請求したい」、「離婚をしたい」とお考えであれば、ぜひ一度アディーレ法律事務所にご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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