弁護士コラム

性格の不一致を理由に離婚できる?離婚を成立させる方法や注意点を解説

性格の不一致を理由に離婚できる?離婚を成立させる方法や注意点を解説
  • 公開日:2024年10月7日
  • 更新日:2024年10月07日

夫婦生活を送るなかで、夫や妻と「性格や価値観が合わない」と感じ、離婚を考える方は少なくありません。
しかし、「性格の不一致だけで離婚できるの?」「相手に納得してもらえるか不安…」と疑問や不安をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

そこでこのコラムでは、性格の不一致で離婚できるケース・できないケース、離婚を成立させる方法、注意点などについて詳しく解説します。
離婚の切り出し方などのポイントを押さえ、スムーズに離婚を進めましょう。

この記事を読んでわかること

  1. 性格の不一致で離婚できるケース・できないケース
  2. 性格の不一致で離婚を成立させる方法
  3. 性格の不一致を理由とした離婚の切り出し方・進め方

離婚原因でもっとも多い「性格の不一致」

不貞行為や暴力など明確な原因があって離婚に至る夫婦がいる一方で、日々の不満が積み重なった結果、離婚に至る夫婦も少なくありません。

2023年の司法統計によると、離婚の申立理由は男女ともに「性格が合わない」が第1位となっており、男性の5割、女性の3割が「性格の不一致」を理由に離婚しています。

ただし、不貞行為や暴力などが原因で離婚するケースでは、世間体を気にして「性格の不一致」を理由にすることも多いです。また、決定的な原因がない場合も「性格の不一致」を理由としています。

性格の不一致で離婚したい!離婚できるケースとできないケース

多くの夫婦が性格の不一致を理由に離婚している一方で、性格の不一致だけでは離婚できないケースもあるため注意が必要です。
以下で、離婚できるケースと、離婚できないケースをそれぞれ見ていきましょう。

離婚できるケース

離婚すること自体や、親権・財産分与・養育費などの離婚条件について、お互いに納得して話合いがまとまるのであれば、どのような理由でも離婚できます。

つまり、離婚協議(夫婦間の話合い)や離婚調停(裁判所の手続を利用した話合い)で合意できれば、性格の不一致を理由に離婚することが可能です。

離婚できないケース

離婚すること自体や離婚条件について、夫婦がお互いに合意できない場合には、最終的に裁判で判決を得る必要があります。

しかし、裁判で離婚する場合、性格が合わないというだけでは離婚できません。
裁判において離婚が認められるためには、以下の法定離婚事由(法律で認められた離婚原因)が必要です。

  • 浮気・不倫(不貞行為)
  • 悪意の遺棄
  • 3年以上の生死不明
  • 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないこと
  • その他婚姻を継続し難い重大な事由

法定離婚事由について詳しくは、以下のページをご覧ください。

法定離婚事由について詳しく見る

性格の不一致による離婚を成立させる方法

法定離婚事由がない場合には、以下の方法で離婚を成立させましょう。

話合いによる解決を目指す

まずは、離婚協議や離婚調停など、話合いによる解決を目指しましょう。

夫婦で話し合って合意できた場合には、離婚届を役所へ提出すれば離婚は成立します。
離婚後のトラブルを防ぐためにも、合意内容をまとめた離婚協議書を作成しておくのがおすすめです。

夫婦間の話合いでは合意できない場合、家庭裁判所に離婚調停を申し立て、調停委員を介して話合いを行います。
夫婦がお互いに離婚することに同意し、離婚条件がまとまれば、調停成立として離婚することが可能です。

ほかの離婚原因を主張する

話合いで合意できない場合には、裁判を提起する必要があります。
裁判で離婚する場合、性格が合わないというだけでは離婚できませんが、絶対に離婚が認められないというわけではありません。

たとえば、性格の不一致が原因で音信不通になったケースなどでは、夫婦関係が完全に破綻していることを主張・立証することで離婚が認められる可能性があります。

また、性格や価値観が合わないことで重度の精神的苦痛を感じている場合や、生活に支障が出ている場合には、婚姻を継続し難い重大な事由があると主張・立証することも考えられるでしょう。

別居を検討する

話合いでも合意できず、裁判で主張できるようなほかの離婚原因もない場合には、別居を検討するとよいでしょう。
具体的な事情にもよりますが、目安としては別居期間が3年以上になると裁判で離婚できる可能性がでてきます。

離婚を前提とした別居については、以下のコラムでも詳しく解説していますので参考にしてみてください。

性格の不一致による離婚について覚えておくべき3つのポイント

性格の不一致を理由に離婚する場合には、以下の3つのポイントを押さえておきましょう。

基本的に慰謝料は発生しない

離婚に伴う慰謝料は、離婚によって被る精神的苦痛に対して支払われるお金です。
不貞行為やDVなどによって、一方の配偶者が離婚原因を作った場合には、離婚原因を作った有責配偶者に対して慰謝料を請求できます。

しかし、性格の不一致は、慰謝料が発生する理由にはなりません。これは、夫婦のどちらか一方の責任によって「性格や価値観が合わない」わけではないためです。

したがって、性格の不一致だけを理由に、配偶者に対して慰謝料を請求することは基本的にはできません。
また、あなたが性格の不一致を理由に離婚を切り出したとしても、それだけで慰謝料の支払義務が発生することはありません。

財産分与や子どもの親権などの離婚条件に影響はない

性格の不一致が原因で離婚する場合も、それ自体が離婚条件の取決めに影響することはありません。
つまり、あなたが性格の不一致を理由に離婚を切り出したとしても、財産分与や子どもの親権などの取決めにおいて不利になることはないということです。

たとえば親権は、監護能力や経済力など、子どもの利益や福祉を考えて決めることになります。
また、財産分与においては、夫婦の共有財産を「2分の1ずつ」分けるのが原則です。

一方的に離婚を成立させることはできない

法定離婚事由がある場合、裁判で認められれば夫婦の一方の意思で離婚を成立させることもできます。
しかし、性格の不一致だけを理由に離婚したい場合には、配偶者が合意しない限り、一方的に離婚を成立させることはできません。

性格の不一致を理由とした離婚の切り出し方・進め方

このように、性格の不一致を理由に離婚したい場合、話合いによる解決を目指すことが大切です。
しかし、あなたは「性格が合わない」と思っていても、相手が同じように感じているとは限りません。相手に納得してもらうためには、離婚の切り出し方や、話合いの進め方がとても重要になります。

離婚を切り出す際には、感情的にならず、「離婚したい」と思った経緯やきっかけを冷静に伝えましょう。

なお、話合いのなかで感情的になってしまったり、自分で離婚条件の交渉をするのが難しかったりする場合には、話がこじれる前に早めに弁護士へ相談することをおすすめします。

弁護士であれば、あなたに代わり配偶者と冷静に話し合うことが可能です。性格が合わない配偶者と直接話し合う必要もなくなるため、精神的な負担も軽くなるでしょう。

まとめ

「性格の不一致」を理由に離婚をスムーズに成立させるためには、話合いによる解決を目指しましょう。離婚を切り出す際は感情的にならないよう注意し、冷静に話合いを進めることが大切です。

うまく話合いが進まない場合には、一人でどうにかしようとせず、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士であれば、あなたに代わって冷静に配偶者と交渉し、適切に離婚条件を取り決められます。万が一裁判に発展した場合にも、適切に対応してもらえるため安心です。

アディーレ法律事務所には、離婚問題について経験豊富な弁護士が在籍しております。法律知識や交渉ノウハウを活かして、離婚をサポートいたしますので、お困りのことがあればお気軽にご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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