第4回「離婚した夫(妻)から高額な慰謝料を請求されたら?」
離婚後、新しい生活が落ち着いたころに、突然別れた夫(妻)から浮気・不倫の慰謝料を請求されてしまったら…。
多くの方は、どうすればよいかわからないのではないでしょうか?
そこで、「弁護士が教える!浮気・不倫の慰謝料講座」第4回では、「離婚後に浮気・不倫の慰謝料を請求されたらどうしたらよいのか?」という疑問にわかりやすくお答えします。
婚姻期間中に浮気・不倫をしていた方、浮気・不倫をしていないのに慰謝料を請求されてしまった方、それぞれの対処方法を見てみましょう。
離婚後の慰謝料請求。元夫(妻)へ支払う必要はある?ない?
元夫(妻)から浮気・不倫の慰謝料が請求されたとしても、支払うことが決まったわけではありませんのでご安心ください。なかには、慰謝料を支払わずに済むケースがあります。
あなたが慰謝料を支払わずに済むのかどうか、以下の3つのポイントを順番に確認してみましょう。
- 元夫(妻)から浮気・不倫の慰謝料を請求されてしまった場合に確認したい3つのポイント
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- 慰謝料請求の時効が過ぎているか
- 離婚に至った原因は何だったか
- 請求された慰謝料が高額である場合、減額の余地があるか
慰謝料請求の時効が過ぎているか確認する
法律上、浮気・不倫の慰謝料の請求権には3年の時効があります。この期間が過ぎていれば(「時効が完成する」といいます)慰謝料を支払う必要はありません。
そのため、まずは時効が完成しているか確認しましょう。
浮気・不倫が原因で離婚をした場合には、原則として離婚をした日から3年で時効が完成します。
浮気・不倫以外の原因で離婚した場合には、元夫(妻)があなたの浮気・不倫の事実を知った(あなたと浮気相手を特定した)日から3年で時効が完成します。
時効が完成している場合、浮気・不倫の慰謝料を支払わない旨の内容証明郵便を送付しましょう。これで、相手からの慰謝料請求を退けることができます。
離婚に至った原因は何だったか確認する
子どもの教育方針の違いや性格の不一致など、浮気・不倫以外で夫婦関係が破綻していたことを示す証拠などがあれば、浮気・不倫の慰謝料を支払わずに解決できる可能性があります。
そのため、実際の離婚原因は何だったかを改めて確認しておきましょう。
請求された慰謝料が高額である場合、減額の余地があるか確認する
一般的に、浮気・不倫が原因で離婚した場合の慰謝料の裁判上の相場は、およそ100万円~300万円です。そのため、500万円以上などあまりに高額な慰謝料はよほど特別な事情がない限り、減額できる可能性があります。
慰謝料の適切な金額の判断や減額交渉には、経験や専門知識が必要となりますので、浮気・不倫の慰謝料問題に詳しい弁護士にご相談することをおすすめいたします。
元夫(妻)からの慰謝料請求を無視してはいけません…その理由とは?
突然、元夫(妻)から浮気・不倫の慰謝料を請求されたとき、まったく身に覚えがないとしても、請求を無視してはいけません。
相手方の請求を無視し続ければ、いずれは裁判になり、余計な負担がかかってしまいます。
さらに、裁判で「やましいことがあるから無視をした」、「不貞行為を反省していない」と判断され、相手方にとって有利になってしまうかもしれません。
そして裁判の結果次第では、浮気・不倫の慰謝料を支払うことになるおそれがあります。
そのため、浮気・不倫の慰謝料を請求された場合は、無視せずに適切な対応をしましょう。適切な対応方法など、わからないことがあれば弁護士にご相談ください。
まとめ
今回学んだことを簡単に振り返ってみましょう。
- 時効が完成していれば浮気・不倫の慰謝料を支払う必要はない
- 相場を超える高額な浮気・不倫の慰謝料は減額できる可能性がある
- 浮気・不倫の事実がなくても、元夫(妻)からの慰謝料請求を無視してはいけない
離婚後に突然、浮気・不倫の慰謝料を請求されてしまったら、まずは上記のポイントを確認してみましょう。
わからないことがあれば、浮気・不倫の慰謝料問題に詳しい弁護士に相談し、弁護士と一緒にトラブルを解決していくことをおすすめします。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。