弁護士コラム

離婚調停中にやってはいけない7つのことは?不利な発言を避け有利に進めるコツ

離婚調停中にやってはいけない7つのことは?不利な発言を避け有利に進めるコツ
  • 公開日:2025年2月21日
  • 更新日:2025年02月21日

離婚調停とは、家庭裁判所で裁判官や調停委員を介して離婚に関するさまざまな話合いを行い、合意を目指す手続です。

離婚調停で有利な結果を得るためには、「やってはいけないこと」や「不利な発言」に気を付けなければなりません。

そこでこのコラムでは、離婚調停中にやってはいけない7つのことと、不利になる5つの発言、離婚調停を有利に進めるためのポイントについて解説します。
不利な条件で離婚しないためにも、不安や疑問を解消し、しっかりと準備を整えて離婚調停に臨みましょう。

この記事を読んでわかること

  1. 離婚調停中にやってはいけないこと7つ
  2. 離婚調停で不利になる発言5つ
  3. 離婚調停を有利に進めるためのポイント

離婚調停中にやってはいけない7つのこと

離婚調停中にやってはいけないことは、主に以下の7つです。

  1. 調停の無断欠席
  2. 調停の録音・撮影
  3. 配偶者に対する嫌がらせ
  4. 不貞行為・異性との交際
  5. 子どもの連れ去り
  6. 勝手に財産を処分する行為
  7. 一方的な別居

それぞれ詳しく解説します。

①調停の無断欠席

調停期日には、原則として当事者ご本人が出席しなければなりません。
離婚調停は話合いの手続であるため、通常1回の遅刻や欠席だけで不利になることは少ないでしょう。

しかし、無断欠席などの不誠実な対応をとると、裁判官や調停委員からの心証を損なうおそれがあるため注意が必要です。
また、正当な理由なく何度も無断欠席をした場合には、調停が不成立となり問題が長期化するだけでなく、5万円以下の過料が科される可能性もあります。

急な仕事や子どもの体調不良などでやむを得ず遅刻や欠席をしなければならないときには、あらかじめ家庭裁判所に連絡をし、遅刻や欠席することを伝えるようにしましょう。

②調停の録音・撮影

離婚調停では、原則として録音・録画・撮影は禁止されています。
調停の内容を証拠や備忘録として残したい場合には、紙のノートなどにメモを取るようにしましょう。

③配偶者に対する嫌がらせ

離婚調停では、調停委員を介して話合いをします。場合によっては、直接相手と話したいと思うこともあるかもしれません。

しかし、配偶者へのつきまといや脅迫など、嫌がらせ行為をしてしまうと、法的責任を問われるおそれがあります。
離婚調停の進行自体を妨げることにもなるため、注意しましょう。

④不貞行為・異性との交際

離婚が成立するまでは、法律上の夫婦関係にあることに変わりありません。
そのため、離婚調停中に配偶者以外の異性と交際し肉体関係を持ってしまうと、「不貞行為」があったとして配偶者から慰謝料を請求されるおそれがあります。

また、不貞行為があったとみなされた場合、離婚原因を作った「有責配偶者」にあたるとして、離婚請求自体が認められなくなる可能性があるため注意が必要です。

なお、交際を開始したときすでに「夫婦関係が破綻していた」といえる場合、不貞行為とみなされない可能性はあります。

⑤子どもの連れ去り

配偶者や子どもと別居をしているケースでは、離婚調停中かどうかにかかわらず、子どもを連れ去ることは絶対にしてはいけません。

実の親子であっても子どもと一緒に暮らしていないのであれば、同居親の同意なく連れ去り行為をすると「未成年者略取・誘拐罪」にあたるとして法的責任を問われるおそれがあるためです。

また、離婚調停において「親権者としてふさわしくない」、「面会交流の実施を制限すべき」などと判断されるおそれもあります。

⑥勝手に財産を処分する行為

夫婦のうちどちらか一方の名義の財産であっても、婚姻中に夫婦が協力して築いた財産であれば実質的共有財産として財産分与の対象となります。

そのため、財産を渡したくないからといって、財産分与の対象となり得る財産を勝手に処分したり、隠したりしてはいけません。
勝手に財産を処分すると、調停委員の心証を損なうだけでなく、問題が複雑化し離婚調停が長引くおそれもあるため、注意しましょう。

⑦一方的な別居

離婚調停中であっても、別居すること自体は可能です。
しかし、配偶者の同意を得ず、一方的に別居することはやめましょう。

正当な理由なく一方的に別居をすると、「夫婦の同居義務(民法第752条)を怠った」と判断されるおそれがあるためです。

同居義務に違反したこと自体に罰則はありませんが、法定離婚事由のうち「悪意の遺棄」に該当すると判断された場合には、慰謝料を請求されるおそれもあります。

ただし、配偶者からDVを受けているなどの事情がある場合、配偶者の同意を得て別居することは事実上難しいため、早急に避難したほうがよいでしょう。

離婚調停で不利になる5つの発言

離婚調停で以下のような発言をしてしまうと、あなたが不利な立場になってしまうおそれがあるため注意が必要です。

  1. 配偶者を批判する発言
  2. 嘘や矛盾のある発言
  3. 根拠のない曖昧な発言
  4. 希望条件に固執しすぎる発言
  5. 相手の主張を安易に受け入れる発言

以下で詳しく見ていきましょう。

①配偶者を批判する発言

感情的になって配偶者を批判してしまうと、離婚に向けた話合いが進まなくなってしまいます。そうなれば、離婚調停が無用に長引くことになりかねません。

調停委員や裁判官からの心証も悪くなるおそれもあるため、悪口や攻撃的な発言などはしないように注意しましょう。
落ち着いて淡々と主張を行うことが大切です。

②嘘や矛盾のある発言

過去の言動と矛盾する発言や、嘘をつくことを繰り返すと、主張に信頼性や説得力がなくなってしまいます。
離婚調停の結果に悪影響を与えるおそれもあるため、正直で一貫性のある発言を心がけるようにしましょう。

③根拠のない曖昧な発言

離婚調停では、離婚の原因となった具体的な事実をもとに話合いを進めていきます。
しかしたとえば、根拠となる証拠もなしに「夫(妻)が不倫をしているようだ」などと主張しても、不倫があったことを前提に話合いを進めることはできません。

また、配偶者が「不倫なんてしていない」と否定してくる可能性もあります。そうなれば、どちらの主張が正しいのか判断できません。

あなたの発言を信用してもらい、スムーズに話合いを進めるためにも、証拠などを用いて具体的に事実を主張しましょう。

④希望条件に固執しすぎる発言

お金のことや子どものことなど、希望する離婚条件は具体的に主張する必要があります。
しかし、希望条件を一切譲らないなど、頑なな態度や発言は避けるべきです。

離婚調停はあくまでも話合いで離婚を目指す手続であるため、折り合いがつかなければ調停は不成立となってしまいます。そうなれば裁判に発展し、問題が長期化することにもなりかねません。

そのため、離婚調停で離婚を成立させたいのであれば、お互いに譲れる部分は譲る姿勢で臨むことが大切です。

もちろん、絶対に譲れない条件があるのなら離婚裁判を提起するという選択肢もあり得ます。
ただし、離婚裁判で離婚が認められるためには、不貞行為などの法定離婚事由(法律上定められた離婚原因)があることを主張し証明しなければなりません。
また、「譲れない条件」が離婚裁判で認められる見込みがあるのか事前に検討しておく必要があります。

⑤相手の主張を安易に受け入れる発言

離婚調停ではお互いに歩み寄ることが大切ですが、相手の主張を何でも安易に受け入れることは避けましょう。
これは、一度調停が成立してしまうと、あとから不服を申し立てて合意内容を覆すことはできないためです。

「一刻も早く離婚したい」という場合もあるかもしれませんが、一方的に不利な条件で合意してしまうと、離婚してから後悔することになりかねません。
どうしても納得できないことがあれば、調停が成立する前に徹底的に話し合うことが大切です。

離婚調停を有利に進めるためのポイント

離婚調停を少しでも有利に進めるためには、やってはいけないことや不利な発言に注意することに加え、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

調停委員に悪い印象を与えないよう配慮する

調停委員は中立の立場ですが、悪い印象を与えないに越したことはありません。

離婚調停当日は、清潔感のある常識的な服装を心がけ、身だしなみを整えておくことをおすすめします。

また、調停委員に対し失礼な態度をとったり、感情的になったりしないよう注意しましょう。
落ち着いて、丁寧な受け答えをすることが大切です。

適切に主張ができるよう準備しておく

離婚調停の際には、あなたの言い分を調停委員に説明しなければなりません。
そのため、主張したいことをわかりやすく伝えられるよう準備しておくとよいでしょう。
たとえば以下のような内容について事前に整理しておくと、筋道を立てて主張を組み立てるのに役立ちます。

  • 離婚を考えるに至った経緯
  • 現在の夫婦の状況や関係修復の可能性
  • 子どもに関すること
  • 希望する離婚条件
  • 離婚後の住まいや生活設計 など

また、配偶者に慰謝料を請求したい場合などには、事実を客観的に証明するための証拠を集めておく必要があります。

弁護士に依頼する

離婚調停の場で道筋を立てて適切に主張するのは、簡単なことではありません。場合によっては、主張すべきことと主張すべきではないことを取捨選択する必要があります。

弁護士であれば、法的知識や経験・ノウハウを駆使して適切に主張することが可能です。離婚調停を有利に進められる可能性も高まるでしょう。

また、弁護士に依頼すれば、裁判所に提出する書面の作成や、調停への同席・代理出席(※)などもしてもらえるため安心です。時間的・精神的な負担も軽減できます。

ご自身で対応することに少しでも不安があれば、弁護士へ依頼することも検討してみてください。

※電話会議やWeb会議による同席の場合もあります。

まとめ

離婚調停には、言動に注意し建設的な話合いができるよう冷静な態度で臨むことが大切です。不利な結果とならないためにも、事前にしっかりと準備をしておきましょう。

少しでも不安がある方は、弁護士に依頼するのがおすすめです。
弁護士であれば、法的知識に基づいた適切な主張ができるため、離婚調停を有利に進められる可能性が高まります。

アディーレ法律事務所では、離婚問題に精通した弁護士がご相談を承っております。
これまでにさまざまな離婚問題を解決してきたノウハウを生かし、解決へ向けてサポートいたしますので、安心してお任せください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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