離婚後の養育費はいつまで支払われる?18歳?20歳?期間を変更する方法も解説

- 公開日:2025年1月22日
- 更新日:2025年02月06日
養育費は、基本的には子どもが経済的・社会的に自立するまで支払われることになります。
しかし、法律で明確に「子どもが○○歳になるまで」と定められているわけではありません。では、養育費はいつまで支払ってもらえるのでしょうか?
そこでこのコラムでは、養育費の支払期間の目安と、具体的なケースに応じた支払期間について解説します。ぜひ、養育費について取り決める際の参考にしてみてください。
目次
この記事を読んでわかること
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養育費を支払う目安は「子どもが成人するまで」
養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまで支払われるべきものとされています。「経済的・社会的に自立する」とみなされる時期は、成人(成年)年齢を基準に考えられることも多いです。
成人年齢が20歳だった当時は、養育費の支払いについて「子どもが成人するまで」と取り決めるケースが多数ありました。しかし、成人年齢が18歳に引き下げられた現在において、当然に「成人年齢である18歳まで」とすることが適切であるとは限りません。
これは、社会の「子どもが自立したといえる状況」や、「子どもが20歳になるまでは親が支えるという考え方」は、今でも大きく変わっていないといえるためです。
このことから、養育費の支払いの終期は、「子どもが18歳(経済的に自立していなければ満20歳)になるまで」が一つの目安になるといえるでしょう。
ただし、これはあくまで目安です。夫婦お互いの合意があれば、具体的な事情を考慮して自由に取り決めることができます。
養育費の支払期間は状況に応じて変更できる
養育費は、子どもが自立するまで長期にわたり支払われるものです。そのため、最初に養育費について取決めたときとお互いの家庭や収入、子どもの状況が変わることも少なくありません。
そのような場合には、父母間の話合いや家庭裁判所の手続である調停で合意したり、審判で認められたりすれば、状況に応じて支払期間や金額などを変更できます。
ただし、お互いの合意なく一方的に支払いを打ち切ったり、勝手に金額を変更したりすることはできません。
成人年齢の引き下げを理由に養育費の支払期間が変わることはない
2022年4月1日の改正民法の施行で、成人年齢は18歳に引き下げられました。
しかし、成人年齢が18歳に引き下げられる前に「成人するまで養育費を支払う」と取り決めた場合には、基本的に子どもが20歳になるまで養育費を受け取れます。
これは、当時の成人年齢である「20歳」を前提に取決めをしたと考えられるためです。
子どもが成人を迎えても養育費を受け取れるケース
目安となる時期を過ぎても、以下のようなケースでは養育費を受け取れる可能性があります。
子どもが大学に進学するケース
一般的に、大学に通学しながら経済的に自立することは難しいと考えられます。
そのため、以下のようなケースでは、大学を卒業するとき(満22歳の3月)まで養育費を支払うよう取り決めることが多いです。
- 子どもがすでに大学に通っている
- 子どもの大学進学が決まっている
- 子ども自身が大学進学を望んでいる
- 両親の学歴・経済状況から大学に進学する可能性が高い
子どもに病気・障害があるケース
子どもに病気・障害があり、治療のために入通院が必要なケースや、働くことが難しいケースでは、養育費を受け取れる可能性があります。
ただし、病気や障害があるからといって当然に養育費が受け取れるわけではありません。
病気や障害によって経済的な自立が困難であるケースに限り、成人を迎えていても未成熟子であるとして養育費の支払いが認められます。
子どもが成人を迎える前に養育費の支払いが終わるケース
一方で以下のようなケースでは、目安となる時期を迎える前に養育費の支払いを終えても問題ないと判断される可能性もあるでしょう。
子どもが就職したケース
子どもが高校を卒業してすぐに就職したケースでは、子どもが社会的・経済的に自立したとみなされ養育費の支払義務が免除される可能性があります。
ただし、20歳までは十分に成熟したといえない側面もあるため、実際の子どもの収入や生活の状況なども考慮して養育費の支払いを継続するか判断すべきでしょう。
子どもが結婚したケース
成人を迎える前に子どもが結婚したケースでは、社会的・経済的に自立したとみなされ養育費の支払義務が免除される可能性があります。
結婚していれば、たとえ専業主婦(主夫)で収入がなくても、自立したとみなされる可能性が高いでしょう。
再婚したら養育費はいつまで支払う?
再婚したからといって、それだけで養育費の支払義務がなくなることはありません。基本的には、取り決めた時期まで支払うことになります。
ただし、具体的な状況によっては養育費の支払い免除・減額が認められるケースもあります。
たとえば、以下のようなケースでは養育費の支払い免除・減額が認められる可能性があるでしょう。
- 受け取る側の親の再婚相手が子どもと養子縁組をしたケース
- 支払う側の親が再婚相手の連れ子と養子縁組をしたケース
- 支払う側の親と再婚相手との間に子どもが生まれたケース など
詳しくは、以下のコラムでも解説していますのであわせてご覧ください。
過去の養育費はいつまで遡って請求できる?
取決めをしたのにもかかわらず、養育費が支払われていない場合には、過去に遡って請求できます。ただし、養育費の請求権には消滅時効があり、時効にかかった部分は請求できなくなってしまうため注意が必要です。
養育費の請求権の時効は取決めの方法によって、以下のように定められています。
取決めの方法 | 時効 |
---|---|
夫婦間の話合い | 5年 |
調停・審判、裁判 | 10年(※) |
※将来発生する養育費については5年
つまり、取決めをしていれば原則として5年または10年分は遡って請求できるということです。
ただし、最初に養育費を請求した(養育費を取り決めた)時点より前に遡って請求するのは難しいといえます。
たとえば、養育費の取決めをせずに離婚し、2年後に初めて養育費を請求したケースでは、離婚から請求までの2年間の養育費が認められる可能性は低いでしょう。
なお、2020年4月1日より前に養育費について取り決めており、初回の支払期限に養育費が支払われない場合、請求しないままでいると20年で養育費全体が時効にかかります。また、2020年4月1日以降に養育費を取り決めた場合は、各支払期限から10年間請求しないままでいると、養育費全体が時効にかかります。
まとめ
養育費は、子どもが経済的・社会的に自立するまで支払われるものです。その目安は、一般的に「子どもが成人を迎えるまで」とすることが多いといえるでしょう。
ただし、具体的な事情によっては成人を迎えても支払いを続けるべきケースもあるため、状況に応じて適切に取決めを行う必要があります。
養育費の適切な金額や支払期間がわからない場合や、ご自身で取決めを行うことに不安がある場合には、弁護士へ相談するのがおすすめです。
アディーレ法律事務所では、離婚に伴う養育費の取決めや、離婚後の養育費の請求に関するご相談を承っております。将来のトラブルを避け、きちんと養育費を支払ってもらうためにも、まずは一度ご相談ください。
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監修者情報

- 資格
- 弁護士
- 所属
- 東京弁護士会
- 出身大学
- 慶應義塾大学法学部
どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。