弁護士コラム

離婚の弁護士費用の相場はいくら?費用を支払えないときに負担を減らす方法

離婚の弁護士費用の相場はいくら?費用を支払えないときに負担を減らす方法
  • 公開日:2024年12月2日
  • 更新日:2024年12月02日

離婚について「弁護士に依頼するとどれくらい費用がかかるの?」と気になっている方は多いのではないでしょうか。
なかには、「依頼したいけど費用が支払えるか心配…」「できるだけ費用を抑えたい」という方もいらっしゃるかもしれません。

そこでこのページでは、離婚の弁護士費用の相場やその内訳に加え、費用を抑えるポイントや、費用を支払えないときの選択肢について解説します。
かかる費用の目安を確認し、離婚を進める際の参考にしてみてください。

この記事を読んでわかること

  1. 離婚の弁護士費用の相場
  2. 弁護士費用を抑えるためのポイント
  3. 弁護士費用を支払えないときの選択肢

離婚の弁護士費用の内訳と相場

離婚の弁護士費用は、大きく分けて以下のような内訳で構成されています。

  • 相談料
  • 着手金
  • 報酬金
  • 実費・日当・手数料

まずはこれらの費用の概要と相場について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

相談料

相談料は、弁護士へ相談する際にかかる費用です。

離婚に関する相談料の相場は、1時間あたり5,000円~10,000円程度であることが多いですが、なかには初回相談を無料で受け付けている法律事務所もあります。

なお、離婚の交渉や手続を弁護士に依頼する場合、まずは相談が必要ですが、相談したからといって必ずしも依頼しなければならないわけではありません。

着手金

着手金は、弁護士に依頼する際、結果にかかわらず支払う費用です。

金額は依頼内容や法律事務所によって異なりますが、離婚を成立させることを目的とした場合には、20万円~60万円程度が目安といえます。

なお、なかには着手金が安い代わりに報酬金を高く設定している法律事務所もあるため注意が必要です。

報酬金

報酬金は、弁護士に依頼した内容について成果が得られた場合に支払う費用です。

一般的には、金額が決められた「固定報酬」に加え、得られた経済的利益(財産分与や慰謝料請求などで得られた利益)の金額に応じた「変動報酬」がかかります。つまり、経済的利益が大きいほど報酬金は高くなるということです。
さらに、依頼内容や法律事務所によって「固定報酬」の金額や「変動報酬」の計算方法は異なります。

そのため、報酬金の目安については一概にいくらとはいえません。

日当・実費・手数料

日当は、弁護士が事務所を離れて活動する場合に支払う費用です。
たとえば、裁判期日への出廷や第三者機関への訪問・打ち合わせなどが必要になったケースでは、日当がかかります。

金額は依頼内容や法律事務所によって異なりますが、30,000円~50,000円程度であることが多いようです。

実費は、以下のような費用が発生した場合に支払う必要があります。

  • 交通費
  • 予納郵券代
  • 印紙代
  • 弁護士会照会費用
  • 公正証書作成費用

これらの費用は実際にかかった金額を請求されることが多いですが、着手金や諸経費などに含まれていることもあります。
また、日当や実費のほかに事務手数料などがかかる場合もあるため、事前に確認しておきましょう。

離婚方法別の弁護士費用の目安

離婚の弁護士費用は、交渉のみで解決するか、裁判所の手続を利用して解決するかによっても異なります。

たとえば、離婚を成立させることを目的とした場合の離婚方法別の弁護士費用の目安は、以下のとおりです。

離婚方法 弁護士費用(着手金・固定報酬金の目安)
協議離婚 60万円~80万円程度
調停離婚 70万円~100万円程度
裁判離婚 80万円~120万円程度

※離婚の請求のみを目的とした場合。そのほかの目的や経済的利益が発生した場合、争点や金額に応じた費用が発生します。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

協議離婚の弁護士費用

協議離婚の場合、着手金と固定報酬金で60万円~80万円程度であることが多いようです。

子どもの有無や人数などによっても増減し、財産分与や養育費、慰謝料などの取決めを行ったケースでは、得られた経済的利益に対して10〜20%の変動報酬金が発生します。

なお協議離婚の場合には、のちのトラブルを防ぐために取り決めた内容をまとめた離婚協議書を作成することが一般的です。
さらに、離婚協議書を強制執行認諾文言付の公正証書にしておくことで、取り決めた内容が守られなかった際に訴訟手続を経ずに強制執行ができるようになります。
離婚協議書を公正証書として作成する場合には、公正証書作成費用として実費がかかるほか、公正証書作成の際に弁護士に公証役場に出向いてもらう場合には日当がかかります。

調停離婚の弁護士費用

調停離婚の場合、着手金と固定報酬金で70万円~100万円程度が目安であるといえます。
協議から調停に移行するケースでは、協議離婚の費用に追加の着手金がかかることが一般的です。

子どもの有無や人数などによっても増減し、財産分与や養育費、慰謝料などの取決めを行ったケースでは、得られた経済的利益に対して10〜20%の変動報酬金が発生します。

また、離婚調停が長引くと、弁護士が出廷・手続する回数・時間も増えるため、その分追加で費用がかかることもあります。

裁判離婚の弁護士費用

裁判離婚の場合、着手金と固定報酬金で80万円~120万円程度が目安であるといえます。
協議・調停を経て裁判に移行するケースでは、協議離婚・調停離婚の費用に追加の着手金がかかることが一般的です。

親権や財産分与、養育費、慰謝料などについても争ったケースでは、得られた経済的利益に対して10〜20%の変動報酬金が発生します。

また、離婚裁判が長引くと、弁護士が出廷・手続する回数・時間も増えるため、その分追加で費用がかかることもあります。

離婚の弁護士費用は誰が支払う?

離婚の弁護士費用は、原則として依頼者の方が支払うことになります。
配偶者の不倫などが原因で離婚したいという場合でも、基本的には配偶者や不倫相手に弁護士費用を請求することはできません。

ただし、裁判で配偶者に対し離婚とともに慰謝料を請求する場合、慰謝料請求のための弁護士費用の支払いについても求めることは可能です。そうすることで、離婚裁判であなたに対する慰謝料が認められたときに、弁護士費用の一部についても請求が認められる可能性があります。

なお、この場合でも、上乗せして請求できるのは慰謝料などの10%程度の金額です。弁護士費用を全額請求することはできないため、注意しましょう。

離婚の弁護士費用を抑えるポイント

このように、離婚を弁護士に依頼する際の費用は、決して安いものではありません。離婚後の生活を考えると、できるだけ出費を抑えたいものです。
そこで以下では、離婚の弁護士費用を抑えるポイントをご紹介します。

早い段階で弁護士に依頼する

調停や裁判など裁判所の手続が必要になると、離婚協議で解決する場合に比べて弁護士費用は高額になります。
また、離婚裁判に発展した場合、解決までに6ヵ月から1年以上かかることも多いです。そうなると、弁護士の日当などもその分かさんでしまいます。

夫婦間での話合いがこじれてしまうと、調停や裁判に発展してしまうことも少なくありません。
一方で、最初から弁護士に依頼し離婚協議のみで解決できれば、よりスムーズに離婚を成立させることも期待できます。

弁護士費用を抑えるだけでなく、早期解決を目指すためにも、離婚を考えたらなるべく早く弁護士に依頼したほうがよいでしょう。

手続の一部をサポートしてもらえるプランを活用する

弁護士や法律事務所によっては、離婚に関する手続の一部のみをサポートするプランを用意している場合があります。

たとえば、離婚の話合いに関してアドバイスをしてもらうプランや、離婚協議書など書面作成のみを任せられるプランなどです。

このようなプランでは、基本的に弁護士が代理人になることはありません。そのため、ご自身で離婚の話合いや手続を進める必要があります。
しかし、費用を大きく抑えながら必要なサポートを受けられるため、夫婦間できちんと話し合える見込みがある場合には、利用を検討するとよいでしょう。

離婚の弁護士費用を支払えないときの選択肢

状況によっては、まとまったお金を用意するのが難しい場合もあるでしょう。
そこで以下では、離婚の弁護士費用が支払えない場合の対処法をご紹介します。

費用の分割払いができる弁護士に依頼する

法律事務所によっては、弁護士費用を分割払いできることもあります。アディーレ法律事務所でも、分割でのお支払いが可能です。

まとまったお金が用意できないからといって、弁護士への依頼を諦める必要はありません。
まずは、Webサイトなどで確認してみるとよいでしょう。

法テラスを利用する

法テラス(日本司法支援センター)を利用すれば、通常よりも安い費用で弁護士へ依頼できる可能性があります。

また法テラスは、経済的に余裕のない方を対象に「無料の法律相談」と「弁護士費用などの立替え」を行っています(民事法律扶助業務)。
ただし、これらの制度を利用するには、以下の条件を満たしていなければなりません。

【民事法律扶助業務の利用条件】

  • 月収や保有資産が一定額以下であること
  • 離婚成立など解決の見込みがあること
  • 民事法律扶助の趣旨に適すること

詳しくは、法テラスのホームページなどをご確認ください。

自分で離婚を進める

少しでも費用を抑えたい場合、ご自身で配偶者との話合いを行うという選択肢もあります。そうすれば、弁護士費用はかかりません。

ただし、以下のようなデメリットもあるため注意しましょう。

  • 離婚が成立するまでに時間がかかる
  • 不利な離婚条件で合意してしまうおそれがある
  • 離婚調停や離婚裁判に発展するリスクがある

特に、離婚調停や離婚裁判に発展してしまうと、さまざまな必要書類を用意したり、何度も裁判所に足を運んだりすることになるため、時間や労力がかかります。できるだけ有利な条件で離婚するには、法的な知識も必要です。

時間や労力などの負担を軽減し、安心して手続を進めるためにも、弁護士へ依頼することをおすすめします。

離婚の弁護士費用に関する注意点

離婚について弁護士に依頼する際には、費用に関する以下の点に注意しましょう。

対応が増えるたびに費用が発生する場合がある

離婚協議がまとまらず離婚調停や離婚裁判に移行する場合、その都度新たに着手金や報酬金がかかる場合があるため注意が必要です。

また、離婚そのものだけではなく親権や慰謝料などの離婚条件について争う場合には、争点それぞれに対して着手金や報酬金がかかります。

そのため、依頼前には必ず費用の計算方法や総額を確認しておきましょう。

費用によって支払うタイミングが異なる

一般的に、弁護士費用は項目ごと以下のようなタイミングで支払う必要があります。

支払うタイミング 費用の項目
依頼する前 相談料
依頼するとき 着手金
解決したあと 報酬金、日当・実費

着手金は、離婚調停や離婚裁判に移行するタイミングでも支払う必要があるため、注意しましょう。
なお、依頼内容や法律事務所によっても支払うタイミングが異なります。

共有財産から費用を支払うと財産分与で差し引かれる

共有財産(婚姻期間中に夫婦が協力して築き上げた財産)は、離婚の際に原則として2分の1ずつ分けることになります。

夫婦で貯めた預貯金などから弁護士費用を支払った場合には、その分を差し引いた状態で財産分与の金額を取り決めなければならない可能性があるため注意が必要です。トラブルにならないためにも、覚えておきましょう。

まとめ

離婚の弁護士費用は、依頼するタイミングや争点の多さなどによって大きく変わります。できるだけ費用を抑えたいのであれば、早い段階で弁護士へ相談し、協議離婚を目指すことが大切です。

弁護士に依頼せず、ご自身で離婚の話合いを進めることもできますが、話がこじれて離婚調停や離婚裁判に発展してしまうことや、不利な条件で合意してしまうおそれもあるため注意しましょう。

弁護士に依頼すれば、有利な条件でスムーズに離婚できるよう交渉してもらえます。万が一、調停や離婚に発展した場合も、一貫してサポートをしてもらえるため安心です。

アディーレ法律事務所では、離婚問題に精通した弁護士がご相談を承っております。
費用についてわかりやすく丁寧にご説明し、ご状況にあわせた解決方法をご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。

監修者情報

林 頼信

弁護士

林 頼信

はやし よりのぶ

資格
弁護士
所属
東京弁護士会
出身大学
慶應義塾大学法学部

どのようなことに関しても,最初の一歩を踏み出すには,すこし勇気が要ります。それが法律問題であれば,なおさらです。また,法律事務所や弁護士というと,何となく近寄りがたいと感じる方も少なくないと思います。私も,弁護士になる前はそうでした。しかし,法律事務所とかかわりをもつこと,弁護士に相談することに対して,身構える必要はまったくありません。緊張や遠慮もなさらないでくださいね。「こんなことを聞いたら恥ずかしいんじゃないか」などと心配することもありません。等身大のご自分のままで大丈夫です。私も気取らずに,皆さまの問題の解決に向けて,精一杯取り組みます。

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