貞操権侵害の慰謝料の相場はいくら?判例とともに解説!
「貞操権侵害で慰謝料を請求したい!」とお考えの方のなかには、「慰謝料に相場はあるの?」と疑問に思われている方も多いのではないでしょうか。
すでに相手男性と慰謝料について話合いをしている方であれば、「相手に提示された金額が安すぎる…」と思われている方もいらっしゃるかもしれません。
このコラムでは、「貞操権侵害の慰謝料の相場はどのくらい?」という疑問にお答えするとともに、どんな事情を考慮して慰謝料の金額が決まるのかを解説していきます。
実際の判例も紹介していますので、ご自身の状況に当てはめながらご覧ください。
目次
この記事を読んでわかること
貞操権侵害の慰謝料の相場はどのくらい?
貞操権侵害の慰謝料の裁判上の相場は、数十万円~数百万円とされています。
実際の慰謝料の金額は、個別の事情を考慮して決まるため、一概にいくらとはいえません。
慰謝料は、あなたが受けた精神的苦痛に対して支払われるお金です。そのため、精神的苦痛の程度に応じて金額が決まります。
精神的苦痛の程度が大きく、悪質性が高いほど慰謝料が高額になる傾向があり、特に悪質と判断されたケースでは300万円以上の慰謝料が認められたこともあります。
貞操権侵害の慰謝料が比較的高くなる事情
貞操権侵害において慰謝料の金額が比較的高額となるのは、以下のような事情がある場合です。
- 女性の妊娠・中絶があった
- 既婚者とわかるまでに時間がかかり、交際期間が長かった
- 女性の年齢が結婚・出産の適齢期であった
- 肉体関係を持った回数が多い
- 結婚相談所で出会ったなど、結婚前提で交際が始まった
- 相手男性のウソが悪質であった(勤務先や年齢も偽っていたなど)
- 既婚者とわかったあと、相手男性の対応が不誠実だった
- ※上から影響が大きいとされる順番に記載。
ほかにもさまざまな要素が考慮されますが、上記のような事情があるケースでは「悪質」と判断されやすく、高額な慰謝料が認められることが多いといえます。
実際の判例で見る!比較的高額な慰謝料の支払いが認められたケース
慰謝料の金額は具体的な事情によって変わるため、「どんな場合にどのくらいの金額になるのか」とイメージしづらいですよね。そこで、実際の判例から、比較的高額な慰謝料の支払いが認められたケースをご紹介します。
慰謝料200万円の支払いが認められた判例
既婚男性が結婚相談所を通じて出会った女性と強引に肉体関係におよぶも、音信不通となったケースです(東京地裁平成23年6月23日判決)。
<事案の詳細>
女性は結婚相談所を通じて男性と知り合い、真剣に結婚を考えて交際。
女性は性交渉経験がなく「結婚する相手以外とは肉体関係を持ちたくない」と考えていたものの、男性に半ば強引に肉体関係を結ばされることとなりました。
3ヵ月交際を続けたものの、女性が男性からの借金の申込みを断ったことをきっかけに音信不通になってしまいました。
この事案に対し、裁判所は貞操権侵害による慰謝料200万円を認めています。
このケースでは、肉体関係を持った回数の少なさや交際期間の短さなどが考慮されたものの、結婚相談所で知り合い結婚前提の交際をしていたことなどから、比較的高額な慰謝料が認められました。
増額要素 |
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減額要素 |
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慰謝料500万円の支払いが認められた判例
男性が既婚者であることを隠して女性と10年以上にわたり交際し、妊娠・出産させたケースです(東京地裁平成19年8月29日判決)。
<事案の詳細>
男性は女性に自分が既婚者であることを一切告げず、婚約指輪を贈り「真剣に結婚を考えている」と将来の結婚を約束。男性は女性を家族や友人・知人に会わせ、婚約者として紹介しました。
女性は男性が独身であり、結婚できると信じて男性の子どもを妊娠。2度の中絶を経て3度目に出産しました。しかし、男性は子どもが生まれると音信不通に。女性と別れることを画策し、子どもの認知にもなかなか応じないなど、不誠実な対応を繰り返しました。
この事案に対し、裁判所は貞操権侵害による慰謝料500万円を認めています。
このケースでは、男性のした行為が特に悪質であり女性の負った精神的・肉体的苦痛も大きいと判断されたことから、一部減額要素も考慮されたものの、高額の慰謝料が認められました。
増額要素 |
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減額要素 |
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適切な金額で慰謝料請求するには弁護士に依頼するのがおすすめ
このように、貞操権侵害の慰謝料の金額はさまざまな個別の事情が考慮されて決まります。
増額要素になる事情もある一方で、減額要素となる事情もあるため、ご自身で適切な金額の慰謝料を請求するのは難しいでしょう。
適切な金額で慰謝料請求できなければ、相手が支払いを承諾せずにトラブルが長期化することや、あなたが負った精神的苦痛に対して低額すぎる慰謝料で合意してしまうリスクもあります。
そのようなリスクを回避するためにも、貞操権侵害の慰謝料請求は弁護士に相談するのがおすすめです。
弁護士であれば、状況を整理したうえで適切な金額で慰謝料請求できます。また、弁護士があなたの代わりに相手との連絡や交渉を行うため、精神的・時間的負担も軽減され、スムーズな解決を目指せるでしょう。
まとめ
貞操権侵害における慰謝料の裁判上の相場は、数十万円~数百万円とされており、金額には幅があります。
悪質性が高いほど比較的高額な慰謝料が認められる傾向にあるといえますが、慰謝料の金額はさまざまな事情が考慮されて決まるため、一概にいくらとはいえません。
そのため、「適切な慰謝料の金額がわからない」とお悩みであれば、弁護士に相談することをおすすめします。
弁護士に相談すれば、適切な慰謝料を請求できるだけでなく、よりスムーズな解決を目指せるでしょう。
アディーレなら、貞操権侵害の慰謝料請求に関するご相談は無料です。あなたを傷つけた相手への慰謝料請求をお考えであれば、まずは一度ご相談ください。
監修者情報
- 資格
- 弁護士
- 所属
- 第一東京弁護士会
- 出身大学
- 法政大学法学部、学習院大学法科大学院
私が弁護士を志したきっかけは、日常生活の中で時々、法的な問題に直面することがあったことです。法律というものは難解なものであると思われている側面が強いと思います。私も勉強するまでは、ちょっと近づきがたいものだと思っていました。しかし、弁護士となったからには、依頼者の方が何に悩んでいて何を求めているのかをしっかりと共有し、少しでも分かりやすく法的な問題点をご説明し、今後どのように問題解決に向けていくことが出来るのかを一緒に考えていきたいと思っております。